一匹の悪役の話 (ページ25)

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21話ページ25

-----アップルside-----

「マミ！」

びくり、と肩をゆらし目を覚ますマミ
寝ているのを起こすのは躊躇ったが、額から汗をかきながらうなされているのを見ていられなかった

彼女の虚ろな目が徐々に私を捉える

ぞくり、と背筋を何かが通った

『…アップル？』

「起こしてすまない、うなされていたからつい…
…水を飲んだ方がいい」

『…ありがとう…』

夢か、とぼそりと呟いたのを私の耳は聞き逃さなかった
やはり悪い夢を見ていたらしい
差し出した水を飲む彼女にそっとハンカチを差し出すと、苦笑いを浮かべながらまた礼を言われた

ふと、ジャックハートが以前私達に言った言葉を思い出す

“マミの様子が少しおかしい”

何を戯言を、と思っていたが、これはきちんと考えなければいけないかもしれん
陸での生活のストレスか？仕事への不満か？
なんにせよ、このままだと今後にまで支障をきたしかねない

早いうちにMr.Vに、と決意しつつ、未だマミの膝で寝続けるダルメシアの頭を叩いた

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-----エイトフットside-----

「ハッピーヴィラーンズ」

今日は俺、ダルメシア、マルフィ、マミ、ホック、スカーと司会の2人
朝の気怠さが抜けきらず、欠伸をしつつ挨拶をしているとマルフィに顔を覗き込まれた

「今日は一段と血色が悪いね、また徹夜かい？」

「あーまぁな…」

血色が悪いのは徹夜のせいじゃねぇ
ハロウィン期間だけ、とかけられたアースラ様の魔法が終わりが近づくにつれてとけていってるだけだ

わざわざ言うほどの事でもねぇ、ひとまずは徹夜のせいにしておく

「良くないな、美しさには睡眠は不可欠だよ？
私の美しい顔を見て癒されるといい…」

「うるせぇブス」

「照れてるのかい？」

「ちげぇだろどう考えても…」

そんなやり取りを繰り広げていると、スッと近くをマミが通ろうとする
…そういや昨日…

「よう、挨拶もなしとはつれねぇな」

がしっ

俺の真横にマミが来たタイミングで、がっしりと肩を掴む

『へっ？』

「おや」

「昨日絡み増やすってお前が言ったんだろ」

『そ、そうだけど！タイミングってものがあるじゃない！』

「うるせー、なんでお前のタイミングに俺が合わせなきゃいけねぇんだよ
お前が合わせろ
明日っからも容赦しねぇぞ」

はっ、と鼻で笑い吐き捨てると、マミは目を丸くした後ふはっと吹き出した

けれど翌日
マミは目を覚まさなかった