報告 ページ33
翌日。
｢……で？ 楽しみすぎて特に何か伝えるでもなく解散したと？｣
｢……ぅ｣
｢何やってんだお前ェッ!?｣
柊真の怒りの声が教室に響き、周囲の生徒が肩を跳ねさせる。
｢うぅ……だって……草薙さんゲーム上手いんですもん……｣
｢何でそこでゲーセン行くんだよ……｣
｢草薙さんとならどこ行っても楽しいんです！｣
｢駄目だコイツ｣
これだからヘタレ、いつまで経ってもくっつけないのだと呆れる柊真に、奏乃はむっとして言い返す。
｢でも！ 草薙さんは二万円でこれだけ獲ったんですよ！｣
奏乃が見せたスマホには、大量のぬいぐるみに囲まれる奏乃の写真が映されていた。
｢……は？ 二万の量じゃないだろ｣
｢でも本当に二万円ですよ｣
｢はぁ……？｣
｢この時点で柊真より草薙さんの方が勝ってるんですよ｣
｢うるせぇ！｣
変なところでマウントを取られ、当然ながら不満しかない柊真。
｢……お前恥ずかしくないのか？｣
｢一生好きな人見つけても恋愛すら出来ない永年童貞がそれ言います？｣
｢ガハアッ!?｣
奏乃が不意に放った強烈なボディーブローがクリティカルヒットし、柊真の心に大ダメージが入る。
｢きっ……奏乃テメェ……！｣
｢どんな気持ちですかどーてーさーん？｣
｢ヤメロォ！｣
更に調子に乗っていく奏乃に、柊真が怒鳴るも止まらない。
周囲の生徒がその絵面に恐怖を覚える中、教室には地獄のような重い重い時間が永遠のように襲っていたことに、その渦中の二人だけが気が付いていなかったのだった。
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作者名：クロロフィル@深緑の指揮者 x他1人 | 作者ホームページ：http
作成日時：2023年3月8日 14時
