その爪を剥け ページ27
「っ……」
また弾が切れた。
不味いと懐に手を突っ込む。
(……! 弾が、無くなった……!)
残弾は、もうない。
弾薬が切れたのだ。
不味い。
非常に不味い。
だが、ここで変身するのは……
この狭い廃墟の中、変身して飛び回り蹴りを放つのはあまり現実的ではない。
残っているのはまだ六体。
そのうち一体が振り上げたナイフを、何とか防ごうと腕を持ち上げた、その時だった。
「……よっし間に合った!」
二人の間に割って入り、歓声を上げた少年。
桃色の髪をなびかせ、キラリと光るオーラを纏う彼は、その光を両手に着けた爪に集中させる。
「“ドラゴンクロゥ”!」
振り抜かれた爪は風を切り裂き、目の前にいた怪人を打ち倒す。
「……! お前、あの時の……!?」
その容姿は、まさしくあの時助けた桃色の髪の少年だった。
そして少し遅れ、ガシャンという窓を割った音が響いたと同時、建物の壁に大きな衝撃が走りヒビが入った。
そこから入ってきたのは、ハンマーを抱えた奏乃と、刀を抱えた美冬。
「“シャイニングボンバー”っ!」
「凍てつき、眠りい。“流氷斬”」
近くにいた怪人を一人ずつ倒し、一気に東矢に加勢する。
「一人で無理しないでっていつも言いますけど……草薙さんもですからね!?」
「せやなぁ。無理はアカンでぇ」
「悪い……」
バツの悪そうな顔をする東矢を置いて、残りを蹂躙していく三人だった。
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 x他1人 | 作者ホームページ:http
作成日時:2023年3月8日 14時