木漏れ日の差すアパートで (ページ46)

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日光浴ページ46

｢…ふぅー…おちつく…｣

ベランダに置かれたソファにもたれかかり日光浴を行うアルマ、その姿は酷く脱力したものであった。

｢そうだね…いいとこだね、アルマくん｣

そしてその横で同じくぐでっとしながら日の光を浴びる少女がいた。
アルマの恋人であるカイトである。

｢大丈夫？眩しくない？｣
｢うん…大丈夫。ここのお日様、暖かいね｣
｢そっかぁ…！｣

よかったと胸を撫で下ろし、嬉しそうに頷くアルマ。
カイトは生来明るい所が苦手だったのだが、ここの優しい木漏れ日程度なら気持ちよく浴びられるらしい。

｢…そういえばさ、カイトのとこ…どうなってるの？｣

カイトのとこ、というのは彼女が現在暮らしているアパート…さしずめ、深海アパートとでも呼んでおこうか…のことだ。

｢あー…あそこは…ちょっとね…色々難しいみたい｣
｢難しい…？｣

苦笑を浮かべながらそう答えるカイトに問い返せば、すぐに返答が戻ってきた。

｢なんかね、ちゃんとできてはいるんだけどあんまり外と繋がれないみたいで…僕とかが遊びに来るのがやっとで不安定なんだって…｣
｢そうなんだ…｣

ちなみにカイトの創造主である神ことアゲハについてだが、クロロの友人ということもあり関わりは深い。
それこそ二人の歩むことになる“正史”では色々とつるんでは騒動を起こしているくらいには仲がいい。

…その嗜好を除けば、彼女は普通な方の神様であろう。

最もその偏りに偏った嗜好の犠牲となった、心の闇を多く抱える者が多く集っているせいなのか、そのアパートは暗く冷たく光の届かぬ深海に作られてなおその暗闇が安定せず、周囲の別次元との調整が取り切れていないとのこと。

その為現在は出来る限り闇の影響を防ぐべく、そういったことにほぼ影響のないクロロの木漏れ日アパートのみを残して外界との繋がりは絶たれている。

｢…とりあえず大変なんだね…｣
｢うん…アゲハお姉ちゃんも頑張ってるみたいなんだけど…｣
｢そっかぁ…｣

しかし二人にはそんなこと知る由もない。
ただ大変なのだと、そう漠然と知ることしかできない二人は、穏やかな日の光を浴び続ける。

次第に二人の目は微睡んでいき、そのまま二人揃って眠りに落ちていくのであった。