絶望マラソン、開始 ページ5
ふと、唐突に謎のアナウンスが響き渡った。
「皆様、本日はご集まり頂き誠にありがとうございます。それでは、これよりナイトメアゲームを開催いたします。」
ナイトメアゲーム?
聞き慣れない単語に首を傾げる一同。
ただ、一部の者には思い当たる節があったようで。
「人狼の次はデスゲームかよ!?ふざけんなァァァァァァ!?」
過去にも似たようなことがあり、そこで胃をやられたマールドが叫ぶ。
しかしそんなことは気にも留めず、淡々とルールの説明を始める。
「ルールは至ってシンプル、ただひたすら逃げるだけです。それでは、ゲームを始めます」
たったそれだけか?
そう問い返す前に、背後で破壊音が鳴り響いた。
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
見れば、背後にあった筈の壁が木端微塵に破壊されているではないか。
そしてその奥からこちらを見下ろすのは。
「グルルルル…」
筆舌に尽くし難い、醜悪な見た目をした化け物であった。
その口からは涎が垂れている。
どちらが捕食対象なのか。
自分たちは何をすればいいのか。
ここにいたほぼ全員が、それを本能的に察知した。
「グルァァァァッッッ!!!!」
化け物が咆哮すると同時、一斉に走り出した。
「くっ、逃げるぞ!」
「やばいだろあれ絶対!?」
ただ、どこにも馬鹿はいるもので。
ある一人が、仲間の制止を振り切って化け物へ向かって殴り掛かる。
何かを叫んでいたようだったが…
「グルルァァァ!」
たった一振り。
ただそれだけで、その上体と下半身は泣き別れとなった。
「…!人が…死んだ…!」
そのあまりにも惨すぎる光景を見て、巧の足が竦む。
当然だろう。
彼は平和な現代世界に生まれ、殺しとは全くの無縁の暮らしをしていたのだ。
当然、他人の死にも、慣れている訳がない。
足が、体が、動かない。
化け物が、ギロリと巧を睨みつける。
その眼からはただ冷たさしか感じ取ることが出来なかった。
化け物が口を開く。
その瞬間、巧は己の死を確信した。
「あ…あ…」
どうすることもできず、その鋭い牙が巧に迫る―――!
、
その寸前、半透明の障壁に牙が遮られた。
「何やってんだよ!早く逃げなきゃ殺されるぞ!?」
「…!」
マールドの張った障壁に救われ、何とか足を進める。
一歩進めば後は容易いもので。
巧の体は即座に加速していく。
「悪い、助かった!」
「…こんなとこでくたばんなよな」
「…あぁ!そっちこそ!」
互いを鼓舞し合い、化け物から逃れるべく足を速めていく。
たった今、命を懸けたロングマラソンが幕を開けた。
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ルーチェ(プロフ) - しゅき() (2022年11月4日 16時) (レス) id: b38fd54f9d (このIDを非表示/違反報告)
アゲハ??@ペテ神(初心者)#エタフェア?色担当(プロフ) - 好き()っていうか授業中に読んだら吹いた() (2022年11月2日 11時) (レス) @page17 id: 759cc49492 (このIDを非表示/違反報告)
クロロフィル@深緑の指揮者/あるりーす(プロフ) - 待ってなんでオリジナル5位入ってんの…? (2022年10月21日 22時) (レス) id: e7bd3124a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロロフィル@深緑の指揮者 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ugt8ragist4/
作成日時:2022年10月12日 20時