ちびマルコ27 ページ31
14歳のマルコさんが来て
丁度5日目を迎えた日
いつ元に戻るか分からなかったので
その日は一日中
彼は親父の傍にいることを望んだ
親父もそれを許してくれて
周囲には人の入れ替わりはあれど
いつも誰かが二人の周りにいた
私もその一人で
船での仕事を終わらせてから
日が沈む前に甲板に向かうと
親父の膝に座って
すやすやとよく寝ているマルコさんがいた
「おうA」
「親父・・・」
なるべく物音も立てず
小声で親父に挨拶して
彼の傍に座った
「ぐっすりですね」
「代わるか?」
「だめだめ、起きちゃいますよ」
「ちぇ・・・
そろそろ態勢がキツくてしょうがねぇ」
口ではそう言っているが
彼の表情はとても穏やかだ
それに起こさない辺り
やはり親父は優しい
「ふふふ・・・
可愛い寝顔・・」
「おい親の前で惚気んじゃねぇ」
「惚気てませんよ・・!
親父もそう思ってるくせに・・!」
「俺はいいんだよ」
グラララ、と小さく笑いながら
大きな手でマルコさんの頭を
なでなで、と撫でる
「いいなぁ〜」
私も撫でたいです、と親父に言うが
「駄目だ、親の特権だぞ」
「ケチ〜
モンスターペアレント〜」
「どうとでも言え
今日は俺が甘やかす日なんだ・・」
「そっか・・・」
じゃあしょうがない、と諦めて
目線を船の先頭に向けて
赤くなった太陽が沈んでいくところを
じっと見つめていた
すると突然
バッとマルコさんが起き上がる
「起きたかァ」
「おはようございます」
「ンッ・・おはよぃ・・・・」
彼はごしごしと目を擦って
親父の膝から降りる
少し目がうつろで、フラフラしている
心配で、彼に声をかけると
「大丈夫・・・多分・・
もうすぐ帰るよぃ」
「え・・・分かるんですか」
「・・・あぁ、世話になった・・
ありがとう、他の奴らにも
伝えてくれると助かる」
はい、と答えて
親父の方をちらっと見ると
若干寂しそうな表情をしていた
懐かしかったんだろうな・・
彼もそんな親父に気が付いて
ふふ、と笑いながら親父に言う
「やっぱり俺は親父が好きだ」
「・・・聞いたかA」
「はいはい、聞きましたよー」
「グララララ!」
親父は上機嫌に大笑いをした
ちぇ、いいなぁ親父
少し拗ねていると
マルコさんが私の元に寄る
「次、会う時が来るまで・・
俺はアンタを守れるように
強くなるって誓うよぃ」
約束させてくれ、と
手を差し出されたので
私はふふ、と笑いながら
その手を握った
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作者名：ロモォコ | 作成日時：2021年12月23日 1時
