ちびマルコ22 ページ26
手で汲んだ水は
残念ながらマルコさんの口に
運ぶことは出来ず
そのまま零して終わった
「ごめんなさい・・」
「・・・っん・・」
零した水を自分の上着の
袖で拭きながら謝る
どうしようかな・・
口移し、か・・?
そういう、イベント、か?
いや、14歳の純粋な少年の
多分初キッスを奪うのは
ん?待てよ・・
マルコさんだからいいのでは?
むしろチャンス?
いやいやいや馬鹿野郎
命の危機なんだから
ふざけてる場合じゃない
「・・・ええいっ
マルコさん、目を閉じてて」
そう言うと彼は大人しく
素直に目をすっと閉じた
湖の水を口に含んで
彼の傍に行き、顔を上に向かせる
わぁぁ、キス待ちのご尊顔
可愛い〜・・髭もまだ生えてない〜・・
じぃぃっと彼の顔を
まじまじと見ていたら
「マルコ!!A!!
無事かぁぁぁああ?!」
「ブーーーッ!!」
あっぶね、口の中の水
マルコさんにぶっ掛けるとこだった
「あはは、元気そうで良かった」
「ハ、ハルタさん・・エースさん・・
来てくれたんですね・・!
早く、マルコさんを船に!」
「任せとけって
そのために俺がこっちに来たんだから」
エースさんがマルコさんに駆け寄り
背負おうとした瞬間
エースさんが眉を顰める
「水が欲しいと言ってる気がする」
エースさんは素早く湖に行き
湖の水をズズ、と吸う音が聞こえた
「まさか」
「おいまさか」
そして彼は湖から顔を上げて
素早く、本当に素早く
マルコさんに駆け寄り
彼の顔を両手でがしっと掴んで
上に向かせてそのまま
「んー」
「うおおおお!!バカバカ!!
離せぇぇぇぇバカエースさん!!」
「は、判断が早いっ・・!」
必死にエースさんを引っぺがそうと
奮闘するが・・・
コイツ!!中々離れない!!
ズズズズ、と水の音が耳に入り
ひぃぃぃ、とハルタさんは悲鳴をあげた
「可哀想なマルコ・・・」
「もうっ!!エースさんのバカタレ!
・・・ってまだ口移してるんですか!?
いい加減離して下さいよ!!
私のマルコさんですよッ!!」
「ん、んん、いてぇよA
なんでそんなに怒ってるんだ?」
「目の前で恋人がキスさせられてたら
そりゃ怒りますよ!!
しかもディープ!!許さない!」
「仕方ねぇだろ?緊急事態だし」
「うぐぐ」
確かに正論ではあるので
私は押し黙ってしまった
エースさんは目を閉じたまま
気絶したマルコさんを担いで
「じゃあ俺は先に船に戻る!
後でな!!」
彼は持ち前の俊足で
ビュンッと風のように
船の方へ帰って行った
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作者名：ロモォコ | 作成日時：2021年12月23日 1時
