過去 ページ6
小6の春、俺の両親が殺された。
犯人は割とすぐに捕まった。
だけど、俺は家族に一人取り残され、孤独な人生を歩もうとしていた。
俺には一人の親友がいた。
それは、リク。
リクとは昔からの付き合いで、親同士も仲が良かった。
だから、俺の事情を知り、しばらくの間リクの家で面倒を見てもらうことになった。
リクには3歳上の姉さんがいた。
リクの姉さんは優しくて、俺にとっても本当の姉さんみたいな人だった。
俺はある日、その姉さんに恋をする。
雨が降っていた日。
俺は帰り道に落し物をしたので、傘も持たずに探しに行った。
落とした物は、死んだじいちゃんから貰ったお守り。
じいちゃんの形見でもあり、俺の宝物でもあった。
「ソラくん、傘は?」
「もう、急いでるから!」
心配する姉さんを置いて、俺は土砂降りの中走っていった。
だんだん雨が強くなり、雷も鳴り出した。
自分から行くといったものの、心底不安だった。
ゴロゴロ…
だけど、お守りは見つからない。
あれだけは、絶対に無くしたくないものだ。100点のテストよりも、レアなカードよりも、何よりも大切なものだったのだ。
辺りは真っ暗になっていた。今何時だ?
リクの家族、心配してるだろうな…
でも、帰り道も分からない。迷子だ。
はあ…このまま死んでくのか、俺。
何より姉さんに申し訳なかった。姉さんを無視して来てしまった。
謝りたい。
会いたい。
その時…
「ソラくん!」
姉さんの声だ!
「姉さん!」
「ソラくん!良かった…」
「姉さん、ごめん…勝手に。」
「ううん、無事でよかった。」
姉さんに抱きしめられた。
その瞬間、尊敬でもない、愛情でもない、姉さんに対する想いが込み上げてきた。
「姉さん…俺っ、」
「ソラ…くん…」
姉さんの顔が俺に近づいてくる。
そして、口に姉さんの唇が触れた。
「ソラくん、私ね、」
「ソラでいいよ。」
「私、ソラが好き。」
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作者名:やま | 作成日時:2019年9月30日 10時