5 ページ5
ドレスに着替え、髪を整え、メイクを施し、靴を履く。
半透明で、青い月の飾りがついたそれは、なんとテネーブルの新作らしい。
そういえば、私テネーブルの靴履いたこと無かったな。
今になって履くことが出来るなんてとても嬉しい……！
自分の足にぴったりとはまる美しい靴を眺めていると、侍女からお呼びがかかった。
もうそんな時間なのね、広間へ行かないと。
ドキドキと心臓が強くはねるのを抑えながら、ゆったりとした足取りで広間へ歩いていく。
いつもより高めのヒールにふらつきながら、両開きの豪奢な扉の前へ立つ。
外側から、執事長が時候を朗々と読み上げる太い声がして、最後に私の名前が上がったとき、ついに重たい扉が開かれる。
目が潰れてしまいそうなほど、煌々と輝きを放つシャンデリアの下、階段を降りた先に広がる大理石の広間には絢爛豪華と呼ぶにふさわしい方々が参列している。
私のために、集まってきた方々。
緊張しながら前へ踏みでると、ふわりと動きに合わせてスカートが揺れ、輝きに照らされて青いアクセサリーが乱反射する。
眼下の客人は、私の姿を認めると一斉に静かになる。
じっと、私だけを視界に収めて、中には呆けた顔をしてる人も。
型に沿って“レディに相応しいお辞儀”とやらをして、階段を降りれば、人々はさっと道を開ける。
どこかで見たことがあるような…それは、そう、モーセと言うやつね。
なんだか歩くだけで人が避けていくのはとても面白いけれど、なんだか寂しい気もした。
……あ、そうだ、広間に出たら舞踏会が始まるんだった。
まず、私とそのパートナーのダンスが始まり、その後他の方々がダンスを始める。
乳母は最初のダンスを終えれば後は観るだけでいいって言ってたので、さっさとダンスを済ませなきゃ。
周りをざっと見て、気になる人の手を取る。
……あ、あの人……！
「もし良ければ、私と最初のダンスを踊りましょう」
「……え、」
ゆらゆらと揺れる、青い炎の髪を持つ同年代の男の子。
なんで選んだかと言うと、とても単純。
すごく目立ってたから(主に髪)。
男の子はおどおどと伏し目がちに周りを見回し、後ろにいた父親らしい人に背中を押され、前に出た。
「……僕を選ぶなんて、本気？」
「もちろん。なんとなく貴方が良いなって」
その時、真っ直ぐ私に顔を向けた彼の、満月を2個に増やしたような金色の双眸が、一瞬だけ私の胸を大きく高鳴らせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 270人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あさき(プロフ) - 好きな作品に出会っちゃいました (9月14日 19時) (
レス) @page14 id: 2e9509526a (このIDを非表示/違反報告)
マナ石(プロフ) - チョコ狐さん» ご指摘ありがとうございます^^*修正しました (2021年2月7日 23時) (レス) id: 3b7a3734b9 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ狐 - あのぉ、5のところの今になってはくことができてとこも嬉しいのところ、「吐くこと」ではなく「履くこと」、ではないですかね？間違っていたらごめんなさい。好きです！ころからも頑張ってください！ (2021年2月3日 22時) (レス) id: fa7ecfc75a (このIDを非表示/違反報告)
マナ石(プロフ) - マザーグースさん» 誤字の報告ありがとうございます^^*早速修正してきます (2021年1月29日 0時) (レス) id: 3b7a3734b9 (このIDを非表示/違反報告)
マザーグース(プロフ) - 12のジェイドの台詞、「シェイド家」のところが「ジェイド家」になってますよ(ｺｿｯ)。面白いです、更新頑張ってください！ (2021年1月29日 0時) (レス) id: 446891bd7a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マナ石 | 作成日時：2021年1月13日 23時
