現実世界は一度きり【茅ヶ崎至】 (ページ18)

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第18話ページ18

至 side

この前はまさかの不意打ちでオフモードを見られてしまった。

まぁ見られてなんだって話なんだけど。

最近本当に自分自身何を考えているか分からなくなってるからモヤモヤする。

この歳になればなんとなくこのモヤモヤの原因を考えることはできるけど、そんな簡単に人を好きになるタイプじゃないんだよね俺。

でもとりあえずあれ以上見られなくなくて、あの日は意味もなくちゃんと恥ずかしくない服を着て、髪もセットしてリビングに降りたら奴らに絡まれた。

そういう時だけ目敏い太一も何もかも見透かしてるような万里も東さんからの笑いかけも全て居心地が悪かった。

それにいつの間に劇団員とあんなに仲良くなったんだろう。

あ、今のはナシ。

至「‥。はぁ‥」

黙々と食堂でお昼を食べていると後ろのテーブルから女性社員の女子トークが聞こえる。

１「で！あいつオタクってこと隠してたの！」

２「え～まじで？オタクに見えないのにね」

１「オタクはきついわぁ」

３「でもめっちゃかっこいいじゃん！別れるのもったいなくない？」

１「いやいや、ない！どうりでインドアなわけだよ」

２「あははっ確かに！たまにデートもドタキャンされてたよねぇ」

‥。オタク肩身狭すぎかよ。

そんなことを思っていると、Aちゃんの顔を思い出す。いや、なんで。

でも、俺のあの姿見てもなんか嬉しそうにしてたな‥。

まぁ推しのけいたくんとやらと重ねてフィルターでもかかってんのか。

至「はぁ」

１「あれ、茅ヶ崎さん！！」

至「‥お疲れ様」

さっきまで後ろで喋っていた子に話しかけられる。

香水プンプンさせて臭いし、なによりそのメイク似合ってないよと思いつつ笑顔を作る。

１「この前の飲み会二次会来てくれなかったの悲しかったんですよぉ～」

至「ははっごめんね、次回は行けたらいいな」

１「今度よかったら私とも飲みに行きません？」

そう言いながら俺のスーツの袖を引っ張る姿を見てAちゃんを思い出す。いや、なんで。

でもこんな嫌な気持ちはしなかったし、むしろ萌え‥ゴホン。

むしろ可愛かった。

やんわり、その手を解いて距離を取る。

至「また飲み会のときは誘ってね」

名前は最後まで思い出せなかった。