【賽】世界で一番【nik】

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『どうしたの、急に』
「ないくんね、ことあるごとに「Aに出会えてよかった」って話してるんだよ、メンバーに」

私の返事はガン無視で、さらっとそう言いのけたりうらくん。


「どんだけしんどい時でも、辛すぎて病みそうになった時でも、Aちゃんが側で笑ってくれて、あったかい言葉をかけてくれたから、活動を続けてこれたんだって。ここまでこれたんだって。感謝しかないって。今じゃないくんの口癖だね」


ポテトを3本掴んで口に放り投げ。
それを幸せそうに味わって喉に通したりうらくんは、爽やかな笑顔でこう言った。

「今日体調崩したこと、ないくんはほんとに何とも思ってないよ。むしろ、Aちゃんのおかげで迎えられた2周年記念日、Aちゃんとずっと一緒にいられて嬉しいんじゃないかな」

『っ……』

その言葉に、視界が歪んだ。

さっきのないくんの言葉の裏付けをするようで。メンバーがそう言えるほどに私のことを話してくれているのが嬉しくて、恥ずかしくて。
色々な感情が混ざって、大粒の涙が頬を伝う。

「え！ ごめん、泣かせるつもりじゃなかったんだけど……！」

ポテトは片手に持ったまま、バっと立ち上がってあたふたし始めるりうらくん。

『ごめん、私も泣くつもりなかったんだけど……。嬉しくて……』

涙が残る顔で、精一杯笑って見せる。
りうらくんはピタッと動くのをやめると、いつも通りの笑顔を浮かべた。

「じゃあ、りうらそろそろ帰るね。これ好きに食べて。ばいばい！」

……りうらくんは、全部分かっててここに来たのかもしれない。
私の気持ちも。不安も。ないくんが伝えられない本心も。

けどね、ないくん。逆だよ。

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