25話目-意識(前編) ページ27
「あ、ええところに。ほい、これ。」
各地を飛び回っているらしい兄さんが帰ってきた。彼は何かが入った袋を差し出してくる。
「…これは?」
「お前がいっちゃん昔に頼んでたやつ。やっと手に入ったんで。まぁ、今のお前にはいらんかもな」
そう言って身を翻しどこかへ去っていった。
袋の中には見たことのないものばかりだった。
「なんそれ」
どこからか現れたゾムが一緒に袋の中を覗いた。
「さぁ…。私が過去頼んだものらしいんですけど…。」
「ふーん。教授なら何か知ってるんちゃうかな」
そう言って私は教授の元へと向かった。何故かゾムもついてきたが。
教授は今日も図書室にいた。
「教授、これなんだかわかります?」
「…ふむ。」
彼は袋の中を一周眺めてふふっと笑ったあと、
「トントンなら知ってるかもしれないね」
といわれたので図書室を後にする。
私達はトントンを探すという名目で城内を歩く。正直に言って今トントンには会いたくないっていうか、顔見れないっていうかなんだろう…ダメなんだよなぁ。
「というわけでゾムがトントンに聞きに行ってくれませんか?」
「どういうわけかわからんけどトントンなら後ろにおるで」
バッと振り返ると相変わらず眉間にシワを寄せてこちらを見ている。
「っわ!!」
思わず避ける。
「…なんやねん。名前呼んだと思ったら急に避けやがって」
ごもっともである。
「あ、その、えっと…こ、これって何かなって!」
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作者名:上田 | 作成日時:2017年1月27日 10時