警視庁は知っている

電話 ページ9

その様子を見た皆が何かを言いかけると

〜♪

と着信音がなった。上杉君があきれた声で

「こういう時ぐらい、マナーモードにしとけよ。しかも着信音が初期設定のままって、だせぇ。」

それは私のポケットで鳴っていたものだった。

ディスプレイに表示された名前を見て、いささか不快になる。上杉君の言った通り、こんな時に掛けてくるなんて。スマホには、
焼田警部
と書かれていた。
でも、私に着信拒否ができる相手ではない。

「お前、いつの間にスマホ買ってたんだよ。」

と若武から言われた。

「丁度お父さんが転勤する頃。安全のためだって。あの、言いにくいんだけどでないといけない相手なんだ。すぐに終わらせるから出て言いかな。」

わめきそうな若武を押さえ、黒木君がうなずく。

私は応答のアイコンをタップし、電話に出る。

「はい、立花です。今日は私、用事があるとお伝えしたはずですが？」

となかば怒り気味にに言うと相手からは

「あぁ、立花ちゃん？ごめんね〜大事な用事がある時に。」

と呑気な声が聞こえてきた。すると声色が急に

真剣になって

「実は四丁目で強盗事件が起きてね。多分、例の事件の連続犯だ。」

そう言われて私は一気に緊張する。

「はい。」

すると私の声が相当固かったらしく落ち着かせようとしたのかいつもの呑気な声で

「うん。場所はさっきも言った通り◯◯市四丁目。熱海銀行に今ジャック中。凶器は銃と包丁で背格好から男だが実際は不明。」

「分かりました。ただ今回はそちらに伺えないのでメールでお送りします。では」

「分かった。こっちも頑張りま〜す。」

と最後まで呑気そうでさすがに少しあきれてしまう。

私はこの時重大なミスを犯してしまったのに気付くのは遅くない。

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