きっかけ ページ8
私がそう告げると皆が見せた反応はそれぞれだった。
今にも問いただして来そうな人、硬直して微動だにしない人、あからさまに落ち込む姿を見せる人、椅子にもたれ掛かって天井を仰ぐ人。
私は思ってもない反応を見せられ、戸惑うも意を決して口を開く。
「きっかけを、話すね。」
途端、皆が私の方へ向き直り、話を聞く姿勢をとった。
「私の家族ね、居ないんだ。」
皆がぎょっと目を向いた。なんと言ったら分からないだろう。
でも今は重要なときだと感じているらしく何も言わなかった。
「たぶん、皆が思ってる事じゃないと思うよ。中1の3月から私のお父さんが転勤になったの。イタリアに。」
皆は静かに優しく聞いてくれた。
「当然、奈子、妹は両親に着いていき、イタリアに行くことになった。お母さんも、お父さんに寄り添おうと一緒にね。」
と言いながら私は家族からそう言われた時を思い出す。私はあの時の鈍器で殴られたような衝撃は忘れられない。
「お父さんは私も連れていこうとした。でも、お母さんが止めたの。『折角、中学受験したんだから残して行きましょう』って。」
「そんな………。」
小塚君はつい洩らしてしまった、という風に呟いた。
当の言った本人が言ったと思っていないようで穏和なあの小塚君が目に光を失い、何処かにさまよっている様だった。そんな彼はやはり優しい。
「お父さんはそれに反発しようとしたの。でも今度はお母さんはお父さんにそっと耳打ちしたんだ。『あの娘は馴染みにくい子よ。今のお友達とは良いようだしおいてあげましょうよ。』ってね。私に聴こえないように言ったつもりだったようだけど聴こえてたから、言う。」
皆はうつ向いた。
どう反応すれば良いかわからなかったのだろう。私は皆を見回しニッコリと微笑むと
「その代わり、お兄ちゃんを家に学生寮から帰って越させようとしたんだ。でも私は断った。今、お兄ちゃんは東大の理三に通ってるし、大学生活も楽しそうだったから。」
「……あのな、そう言うときは頼って良いんじゃねぇ?むしろ、その方が良いと思うけど。」
皆が同感だというように、首をたてに振った。
でも、私は静かに首を横に振り、それを拒否した。
「でも、私は家族に頼らず生きてみたい。そりゃ、お金の出所とかは家族だけど普段の生活でそうしてみたいの。」
私は目を伏せる。ごめんなさい。心で呟いて言った。
「でも、退団理由は話せない。ごめんなさいっ!」
そう、頭を下げた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
ラッキーアルファベット
X
ラッキー方角
西 - この方角に福があるはずです
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
27人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かい。 - うーっ! (2021年4月21日 17時) (レス) id: 36f03a2793 (このIDを非表示/違反報告)
かい - 応援、ありがとうございます。(言葉の連鎖。。。) (2021年4月1日 2時) (レス) id: 5fd3cd3da4 (このIDを非表示/違反報告)
かい - ありがとうございます!ウラツク経験者とはいえ、まだ初心者なので。。。続きが気になるといってくれて嬉しいです。 (2021年4月1日 2時) (レス) id: 5fd3cd3da4 (このIDを非表示/違反報告)
彩華 - すっごく続きが気になります…頑張ってください! (2021年3月31日 19時) (レス) id: f356979ff0 (このIDを非表示/違反報告)
かい - ありがとうございます!ホムペの時などもみて頂いて嬉しかったです。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年3月23日 2時) (レス) id: 5fd3cd3da4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かい。 x他3人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Hghj/
作成日時:2021年3月7日 19時