警視庁は知っている

アーヤVS黒木君 ページ13

「単刀直入に聞くけど、まず、何でその人に配置図の書き方を教えてもらってるの？」

先程までの雰囲気はどこへやら。いつもの甘く、柔らかいいつもの私に対しての空気に戻っていた。
私から何かを聞き出そうとしているのがわかっていても、その甘さに包み込まれていつかぼろを零してしまうかもしれない。

私は一層警戒心を強めて、

「それはね、」

と微笑んで口を開いた。

「探偵チームの活動のためだよ。事件の現場とかの見取図あるでしょ。
あれをもう少しちゃんと書きたいと思って、その知り合いに教えてもらったの。
知り合いこそ言ったけど、親戚の人のことね。」

私は口を閉ざして言葉を切った。知り合い、という表現は親戚、としてしまったが"あの人"なら口裏合わせてくれそうだ。信頼もある。
よし、と心の中で一息つく。
その時に黒木君は私をスッと奥の深いその目で見つめる。まるで私の事を見透かしているように。



本当に気が抜けない。忘れては行けなかった。
私がこの手の事については全くの初心者で相手は対人関係におけるエキスパートだということを。
私は思わず息を飲む。なんて浅はかな行動だろうか。
ましてや、私はむしろ苦手だ。

「この説明で良かったかな、黒木君。」

　私は小さく無理矢理微笑みながら、黒木君に聞く。それに対して黒木君は一切反応せずずっと私を見据える。
私は遂にその視線に耐えきれなくなってしまってめを反らす。


この楽しげだったカフェテリアにぽつんと、しかしありありと重苦しい雰囲気が漂っている。







それもこれも全部、みんな私のせいだ。


　自覚というのは恐ろしいと感じる。自覚をしたとたんに、悔しさと、哀しさが押し寄せてくる。








ごめんね











そんな意味も込めて私は小さく笑った。

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