あんスタ短編 (ページ27)

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Valentine.Izumi④ ページ27

泣くなんて卑怯な事はしたくない。
(泉さんが一番嫌いなやり方)

見つめ合う形でグッと歯を噛み締めると、頭上から大きなため息が聞こえた。

『はぁ…アンタってほんっとうに馬鹿な子。
アンタは、お姫様じゃなくて、俺のなに？』

そう問われると、頬に手が添えられた。

「か、のじょ…です…」

『そ。"俺が"好きで選んだ彼女なワケ。なに？俺の彼女だってことに自信が持てない？』

真っ直ぐ見つめられると、こっちの返事も待たずにソッと唇を塞がれた

『っーこれでもまだ俺のだって自信がない？それとも俺の事嫌いにでもなった？』

口調とは裏腹に少し不安げに揺れる瞳にハッとして口を開く

「そんなこと！っ…大好きです、泉さんがっ…！」

それを聞いて泉さんは満足したのか、いつもの凛とした表情に戻った。

『ん。俺も、不安にさせちゃってるのは俺だから。あーあと、はいこれ。アンタは特別だからね～？』

手渡されたのは、綺麗にラッピングされた、チョコだった。

「これ、まさかっ！」

ちょっと形が崩れてしまっているけど、わかる。

忙しいのに、合間を縫って作ってくれたんだ…

『感謝しなよ～？俺の手作りが食べられるなんて彼女の特権なんだからねー？それに、お姫様達にこーんな姿、見せられないし？』

少し照れたような言い方に視線を戻すと、泉さんはそっぽ向いていて、耳が薄ら赤く染っていた。
その姿に心がキュンとした。

「泉さん、ありがとうございます！」

気づいたら泉さんの背中に飛びついていて、もーなにー？と言いながらもしっかり回した手に手を添えてくれた。

『たまにはこーゆーのも悪くないかもね？』

「はい！」

逆チョコ企画も無事成功に終わり、2人の気持ちもまた少し深まった2/14だったー

end.