織田作之助の元彼女は【織田作之助】【太宰治】 (ページ6)

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第6話ページ6

太宰さんが席を外したから私は一人でぼんやり考え事をしていた。

今度は織田作さんの事ではなく太宰さんの事だ。私だって馬鹿では無い。だから織田作さんの名を出してから太宰さんの様子が可笑しい事に気がついている。

多分だけれども織田作さんと太宰さんは何か繋がりがあったのではないか。同じマフィアにいた訳だし知っていても可笑しくはない。

そうだとしても如何して様子が可笑しいのか。それは太宰さんが織田作さんと連絡が付かない理由を知っているからだと思う。

私が知らない何か。知っているのなら教えて欲しい。大切な人に会えないのはすごく辛いから。

『はぁ』

自然と溜息が漏れた。

その時だった。遠くで微かに銃声が聞こえた。神経を研ぎ澄ます。

銃を持っているのは10人弱。襲われているのは2人か…？異能力者は…被害者だ。これはマフィアにしてはかなり小規模な襲撃。マフィアではない可能性がある。

取り敢えず助けに行かなくては。私はメモ用紙に必要な事だけを急いで書いて現場に向かった。急いでいたから異能力を使って足を強化した。

私の異能力は自分の中の能力や体力を犠牲にして他の能力を伸ばす物だ。これは応用が効いて例えば自分の中にある治癒能力を犠牲にして人に分け与える事ができる。

強化した足だと現場まで5分足らずで来れた。すると被害者の1人は酷い怪我を負っていて1人は無傷だった。けれど人数的に不利な状況にある。

私が助けに入るしか…

『大丈夫ですか⁈』

「え？」

向こうは驚いている。予想だにしない私の登場で隙が出来た。この隙に中也さんに習った体術で相手の銃を蹴り飛ばす。

これだけで事態は少し有利な方向に傾いた。でも喜んでいる暇はない。私は弱いから10人も相手に戦えない。

だから…中也さんに力を借りるしかない。

「ごめんなさい」と心で謝って中也さんの異能力『汚れつちまつた悲しみに』を少し分けて貰う。

これはかなり危険だけどマフィアを抜ける時に「何かあったら俺の異能力を使え」と中也さんが言ってくれたから使う事ができる。

すぅと息を吸って心を落ち着かせてから

『異能力＿＿汚れつちまつた悲しみに！』

中也さんの異能力を借りた。精神が安定していないと危険だから勝てるイメージをしてそれの通りに倒していく。

「なっ！」

息を吐く間も無く倒れていく敵。私は中也さんに異能力を返してから怪我をしている人に駆け寄った。

『直ぐに治しますからね』

すると後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。

「A、駄目だ！」