織田作之助の元彼女は【織田作之助】【太宰治】 (ページ5)

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第5話ページ5

私はAに「トイレに行く」と言って席を外した。少し考える時間が欲しかったからではない。無駄に回る頭の所為で考える時間などはいらなかったが一人になりたかったからだ。

Aは時々私の予想を超える事があった。本人にその自覚はないが先刻の質問には驚いた。いきなりマフィアを辞めた理由なんて…

本当の理由はAだというのに

私がマフィアを辞めるきっかけとなったあの日＿＿

『人を救う側になれ』

織田作はそう言った後、私の目を見てこう言った。

『大事な人が其方側に居る。見つけ出して側にいてやってくれ。彼奴の異能力は自分を犠牲にする。だからお前が…側にいて守ってやってくれ』

大事な人とはAのことだったのだろう。織田作はこのバーで飲んでいる時、何時もAの事を気にかけていた。それはAの異能力が危険だったからか。

少し落ち着いたので席に戻ってAに声をかけようとした。が

「A？」

そこにAの姿はなかった。真逆と思いAが座っていた所を見ると一枚の紙が置いてあった。

「銃声が聞こえたので向かいます。探偵社に連絡を」

殴り書きでそれだけ書いてあった。私が席を外したのは3分程前、ならそう遠くには行っていない筈。

Aは耳が良いから私には聞こえなかった銃声も聞こえたのだろう。

これはまずい事になった。怪我人をみたら敵味方関係なく助けたがるのがAだ。きっと異能力を使ってしまうだろう。そうしたら織田作との約束が…

気がついたら私は走り出していた。