第4話 ページ4
それからたわいも無い話を30分程した。話の内容はあまり詳しく覚えていないけれど一つだけ印象に残ったのがある。太宰さんの旧友の話だ。
太宰さんは旧友と何時もこのバーに来るそうだ。そのは異能力を持っていてとても良い人だったらしい。
昔と言っていたから多分太宰さんがマフィアにいた頃の友人だろう。頭の切れる太宰さんが褒めるくらいだからさぞ凄い人に違いない。
『そういえば太宰さんは如何してマフィアから探偵社に来たんですか?あ、嫌なら別に答えなくて良いんですけど…』
聞いてしまってから後悔した。誰にでも聞かれたくない事はある。それを聞いてしまったら相手が…傷ついてしまうかもしれないから。
嫌われる事を覚悟して太宰さんの方を見ると優しく微笑んでいた。でも少しだけ、よく見ないと分からないくらい少しだけ…悲しそうだった。
「先刻話した旧友がきっかけでね、彼は無くなったのだよ。…その時に言われた言葉のおかげで私は今、此処にいる。」
旧友のおかげ、か。本当にその旧友は凄い人なんだな。少しだけ羨ましい。
「Aは如何してマフィアを辞めたんだい?」
私がマフィアを辞めた理由か…。私はかなり前、織田作さんと連絡がつかなくなる前にマフィアに入っていた。
その地位はマフィアの中の小さな部隊の長であった。織田作さんには隠していたけれどある日織田作さんもマフィアにいると知って打ち明けた。
驚かれると思ったけど織田作さんは知っていたらしく私が傷付く事を心配してか「マフィアを辞めろ」と言った。
『織田作さんのおかげですね。あの時辞めろと言われなかったら私は今でも…』
「お互いに救われた、か」
太宰さんが何か言ったような気がしたが声が小さく聴こえなかった。特に聞き返す必要がなかったと感じたから私は気に留めずまたたわいも無い話を始めた。
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果汁ジノ%(プロフ) - ゆかりちゃん、やっぱり凄いなぁ……順位40位おめでとう( ´ー`) (2018年6月23日 14時) (レス) id: a6a058aaa7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆかり | 作成日時:2018年6月16日 23時