第3話 ページ3
業務が終わりすっかり日が沈んだ頃、少しお洒落なバーのような所で私は太宰さんと一緒に飲んでいた。
飲んでいたと言っても私はお酒に弱いので先ずは烏龍茶を頼んだ。太宰さんはカクテルを飲んでいた。
一息ついた頃太宰さんが静かに口を開いた。
「Aは織田作に会えなくて寂しく無いのかい?何年も連絡がついていないと言っていたけど」
太宰さんが織田作と呼んだのにはびっくりしたけれどこの時は質問の方に気が向いていたのであまり詳しくは考えなかった。
何年も会えないなら普通は悲しいものなのだろう。でも私は
『私は織田作さんを信じています。彼は本当に真っ直ぐで良い人ですから絶対に迎えに来てくれると思います。だから…寂しくなんてありません。』
少し強がってしまった。幾ら信じていると言っても少しも寂しくない訳ではない。そんな気持ちが太宰さんに伝わったのか
「無理してない?」
と言われてしまった。今日は私が太宰さんを元気付けようと思ったのにこれではまるで駄目だ。だから『無理なんてしてません』と作り笑顔で答えた。そしてそのまま切り出した。
『あの、太宰さん』
「ん?」
『私、何かしましたか?元気が無いように見えますけど…』
勇気を出して聞いてみると、太宰さんは少し驚いたような顔をしたけれど直ぐに何時もみたいに笑って
「何でもないさAは気にしなくて良いのだよ?」
と言ってくれた。絶対に何かあるのに隠そうとするのは太宰さんの優しさなのだろう。なら私がこれ以上聞く必要はない。
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果汁ジノ%(プロフ) - ゆかりちゃん、やっぱり凄いなぁ……順位40位おめでとう( ´ー`) (2018年6月23日 14時) (レス) id: a6a058aaa7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆかり | 作成日時:2018年6月16日 23時