第2話 ~past~ ページ14
「なあ」
『何ですか?』
「何故こんな事をした?手前程の力がありゃ誰かに命令されたなんてことは」
Aは中原の言葉を遮って言った。
『依頼を…受けた。ポートマフィアの首領を殺せ、と。』
淡々とAは言った。
数日前、とある裏組織の男に依頼された。その組織は構成員15人余りの小さい組織だった。
ポートマフィアに逆らった為壊滅寸前に追い込まれていたのだ。そこでAに目をつけた。最近、親を亡くしたばかりのAには身寄りがない。それを組織は利用した。
先ず多額の費用を払い家を用意した。その次に組織の首領は養子縁組を結び、Aを養子にした。
その恩返しにAはポートマフィアの首領を殺しに来たのだ。
『だから私はポートマフィアの首領を殺さなくてはなりません。お義父さんの為にも、組織の為にも。
その為には貴方を倒さないといけなかった。
ごめんなさい。』
「ハッ俺も舐められたもんだな」
中原はそう言うと体を起こした。もう力は残っている筈がないのに、そのうえAに銃を向けた。
『驚きました。まだ立てるのですね。……でも、貴方が一番良く知っている筈です。私の前で銃など無意味。』
とは言ったもののAにももう大した力は残っていなかった。幾ら異能力が強いとはいえ中原程の強敵とは戦ったことがなかったからだ。
ピリピリとした空気の中、その場に似つかわしくない声が響いた。
「中也〜苦戦しているようだね? 君がやられる所を見るのも面白いけど、
森さんがこの子を欲していてね。」
太宰治___ポートマフィアの構成員だ。
並外れた頭脳と異能無効化という反異能力___『人間失格』を所持している。
『貴方は?』
「失礼、お嬢さん。私は太宰、太宰治だ。」
『太宰さん…。先程貴方は森さん、と言っていましたがそれは首領の事ですか?』
「嗚呼。裏社会でもトップのポートマフィアの首領が君を求めている、悪い話ではないと思うのだけど」
「おい、どういう事だ」
「そのままの意味さ。河側Aちゃんの異能力『山椒魚』はとても強力だ。Aちゃんがマフィアに入れば向かう所敵なしだよ。
逆にあの森さんがこの異能の持ち主を欲しがらない筈がない。」
若し暴走しても私が無効化できるからね、と太宰は付け足した。
23人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
果汁ジノ%(プロフ) - ゆかりちゃん、やっぱり凄いなぁ……順位40位おめでとう( ´ー`) (2018年6月23日 14時) (レス) id: a6a058aaa7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆかり | 作成日時:2018年6月16日 23時