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紗姫side

「例え橘がイジメの様な事をしていたとしても

俺達は橘を信じる。仲間ってそういうもんだろ?

それに橘はそんな下劣な奴じゃねーし」

「そうだな。橘なら

「んな阿保な奴らと関わるのなんてゴメンだな。

それにそんな程度の低い奴らの馬鹿さときたら」

って見下しそうじゃね?」

「充分ありえる」

と、3人がじゃれ合っている時

私にはそんな会話が耳に入ってこなかった

“仲間”

彩は私達の事を仲間だと思っててくれていたのかな?

・・・そんな訳、ないか

私達は彩を裏切った

あの時、写真を見て彩を信じられていたら

彩は一人にはならなかった

それは事実だから

真夜様に昔、訊いたんだ

「彩は裏切った者を決して許さない」

その理由は教えてもらえなかったけど

その時の私は何で真夜様がこんな事を言うのか

訳が分からなかった

でも、今ならわかる

真夜様は最初から分かってたんだ

私達3人が専属執事になることも

そして、私達が彩を裏切るということも

「・・・ということで」

その声が私を現実へと引き戻した

「何で橘がシカトされてるか、教えてもらえるんだろうな?」

その挑発的な口調、そして

何者も逆らわせないような瞳を見て、私は息を呑んだ

ううん

この場にいる全員が息を呑んだの

私は思わず泣きそうになった

でも、月城君がそれを許さなかった

「泣くな。今お前が泣いてもなんにもなんないだろーが。

もしも橘の前で泣いてみろ。その時は俺がお前らを許さない」

その言葉に、涙を必死に堪えた

「おい、いくらなんでもやり過ぎだぞ、笙馬」

「はぁ?お前らだってイラついてんのは一緒だろ」

「そうだ。だからこそ、こういう時は冷静になんなくちゃ行けないんだろ?」

「・・・わかった。

だが、お前らには洗いざらい吐いてもらうからな」

私はその凍てつく瞳を受けながら

唇を慎重に動かして話始めた



「フーン、そういう事か」

話終えたところで、開口一番そう言った

月城君は蔑むような目でこっちを見た

「要するに、こういう事だろ」

そして、その写真には・・・

彩が写っているはずの後ろ姿が、別人に変わっていた

これって、もしかして・・・

「合成写真・・・」

私は掠れる声をなんとか振り絞って声を出した

「そうだ。こんなのに引っかかるなんて、ホント信じられねー」

「橘探し行くか」

そういって3人は教室から姿を消した

後には教室の静寂と、後悔だけが滲み出ていた

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作者名:天奏 | 作成日時:2019年3月3日 5時

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