冷酷少女は秘密を抱える (ページ36)

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光音side

消え、去、る？

「そ、それってどういう事だよ。

またいつもの冗談だろ？」

いつものように、笑って「嘘」と言って欲しかった

だけどゼンの、冷の眼はいつになく真剣で

冗談とは言ってくれない

冷は俺に背を向けると、さっきしていたみたいに柵に体を預けた

「俺、寿命があるんだ。前に受けた傷がな、結構深傷で。

体が徐々に思うように動かなくなって来てる」

思うように動かないって・・・

「そんな素振り、全然なかったじゃないか」

「そう見えない様に見せてただけ」

「・・・後。後どれくらいは生きられるんだ？」

「・・・俺が探偵活動しないで

ずーっと病院で入院生活を送ればかなりの延命が出来るらしい。

逆にこのまま活動を続けてれば、もって3年」

3、年・・・

留学期間と同じ・・・

「あいつらには、言うのか？」

冷はこっちに顔を向けずに、首を振った

「いや。言わない。お前って口堅いし。

お前はちゃんと約束を守る奴だって事は知ってるからな」

俺はただ黙っているしかなかった

入院しろ、と言うのは簡単だ

だけど・・・だけど冷が絶対に言う事を聞かない事ぐらいは

何年も連んで来た中で嫌と言う程知っているから

「冷はそれで良いのか？」

「嗚呼。俺はお前らと探偵をしてる時が

いっちばん自由に生きてるって感じられてたから。

だから、お前達にはいつものように接して欲しい。

俺がいなくなる、その日まで。

3人の中ではお前が隠し事を隠すのが一番上手いしな」

「・・・変な理由だな」

「そうかもな」

冷が小さく笑った・・・気がした

「・・・さ、行こうぜ。2人が待ってる」

俺が言うと、頷き返してこっちを向いた

冷の眼からは何の感情も読み取れなかった

「＿＿＿＿1人で＿＿＿＿きゃダメ＿＿＿な」

「冷、なんか言ったか？」

「いや。何も」

そう言うと、冷は俺に飛びつき肩に手を回す

「あの時と・・・俺が最初にお前に会った時と同じ空だな」

冷のギリギリ聞き取れるかぐらいの呟きに、俺は目を瞑った

『おい、皐月。お前何サボってんだよ』

『・・・お前、誰？』

『結城光音だ。お前と同じクラスの』

『・・・居たっけな、そんな奴』

『おい！』

『とにかく、俺は今日ここにいるから。

こんな青空の下で寝転がってた方が何倍も良い。お前も頑張りすぎじゃね？

ちょっとは肩の力を抜けよ』

あの言葉が俺にどれだけの影響を与えたのか、冷は知らないだろうな