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彩side

体育の時間になっても、私は屋上に来ていた

理由は、えっと、サボる時は基本的屋上にいるから、かな

もし欠員が出たら紗姫が呼びに来ることになってる

ま、んなことねーだろうけど

私がそう思った直後、屋上に続くドアがバンッと開かれ

息荒く顔を覗かせたのは、なんと紗姫

私は目をこれでもか、というぐらいにまん丸にして紗姫を見た

そんな私に構わず、紗姫は私の二の腕を掴むと

階段をダダッと、勢いよく駆け下り始めた

「ちょっ、紗姫、どうしたんだよ」

私の質問に、紗姫は振り返ってこう言った

「欠員が出たの!宥翔さんが怪我しちゃったの!」

えぇ・・・宥が?

俄かには信じ難いんですけど

「怪我って、何でだよ」

私が訊くと、紗姫は私を掴んでいる手に力を込めた

「・・・相手の選手に足を引っ掛けられたんだ。

私見たの、その時。宥翔さんが足を掛けられて転ぶとこ。

宥翔さんは軽い捻挫で済んだらしいけど、もう出れないだろうって」

「・・・教師は?」

紗姫は、悔しそうに顔を歪めた

「ちょうど先生達からは死角だったみたいで、誰も気付いてないの」

それからはただ無言で、階段を駆け下りる足音しか聴こえて来なかった


体育館に入ると、そこら中から視線が集まった

「おい、橘、遅いぞ。今まで何処に居たんだ」

「すいません。サボってました」

私が言うと、そこかしこから笑い声が聞こえてきた

「ほら、中断してた分長引くんだからあんまり人をまたすなよ」

「はいはい」

私はヒラヒラと手を振りながら、コートに入った

周囲に宥の姿は見えない

たぶん、紗姫が私を呼んでくる間に祐飛か蓮が保健室に連れて行ったんだろう

さてとっと、宥の仇を討ちますか

「紗姫、ヘアゴム持ってる?」

「え?ヘアゴム?ちょっと待ってね・・・」

紗姫は、腕から黒いヘアゴムを取り出し、私に放った

私はそれを受け取り、頭の高い位置で括る

先行はあっちっぽいな

私は相手が攻撃してこない内に、3人に向けて言った

「3人共、お前らは自分のコートを守れ!

ボールをカットしたらどこでもいい。相手のコート内にボールを放り投げろ!」

私はそれだけ言うと、超高速で相手のボールをカットし

その勢いを落とさぬまま、シュート

その瞬間、体育館内が一気に静まり返った

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作者名:天奏 | 作成日時:2019年3月3日 5時

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