シンデレラグレイ (ページ37)

今日:11 hit、昨日:56 hit、合計:103,456 hit

▼ ページ37

少ししたら、陰の方がちょっとしんどそうな顔をして事務所を出て行った。

「ホクト、疲れてんのかな？」

　ドアを閉めた音が聞こえてから呟いた俺に、

「アイツにも弱点あるってコトだ」

と、陽の方がバッグから大事そうにカメラを取り出して、ソレを弄りながら言った。

「無理しなきゃいいけど」
「アイツは好きで自分追い込んでるからな」
「不器用なんだよね、ホクト」
「良いように言うわ」

　肩を竦めて笑う表情は、陽の雰囲気を見せているけど、きっと陰を心配してるに違いない。

「ジェスにもわかる日が来るかもな」
「えー？俺、しんどいのはヤだ！」
「そりゃまあ、誰だってヤだろうけどさ」
「別に……キヤクイハンじゃなかったら、俺はそういうのもどってことないんだけど。ホクトはヤなんだろうね、ずっと断ってるみたいだし」
「……はぇ〜」

　俺の言葉に少し間を置いてから、

「コイツ、体力オバケだ」

と陽がニガワライする。

「向こうがソレで満足してくれるんなら別にいいやって」

　そういうモンじゃないの？と聞けば、やっぱり陽はニガワライして、

「逆にピュアでビビる」

そう言った。