シンデレラグレイ (ページ13)

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ジェシーに何か耳打ちされた後、すぐだから、と店員さんはショーケースから取り出したペンダントを奥に持っていって、しばらくすると作業の音が聞こえてくる。

「アイツ、手先器用なんだよね」

　お互いのペンダントトップへ刻印する文字を決めて、作業が終わるのを待つ間、また店内の商品に目を向ける。

「ほら、この辺のレザーのヤツとか全部、アイツの手作り」
「え、そうなの？凄い……」
「一点物っていうの？だから、ここの店じゃこっちの方が人気」
「全部がレアものってことだもんね」
「でも大量生産出来ないから、全然儲かってない」

　DAHAHAHA！って笑うジェシーの大声に、

「ジェシー！聞こえてんぞー！」

と、奥から店員さんの声がして、やべぇ、と肩を竦めたジェシーと目が合って笑い合う。途中、お店に入って来た二人組の女の子は、彼氏へのプレゼントなのか、レザーの商品を熱心に吟味していて、丁度刻印が出来たペンダントを手に奥の作業場から出てきた店員さんに声をかけると、車のスマートキーカバーを購入していた。丁寧なラッピングを店員さんが施して、その手馴れた様子と美しい仕上がりに、さっきジェシーが言ったことが嘘じゃないことが証明されると、私も一緒になって感嘆して思わず彼女達と目が合ってしまった。商品を受け取った彼女達は笑って会釈すると、すれ違いざまにジェシーをチラチラ見ながら、店を後にした。

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