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自覚は無いけど、何か面白い顔でもしていたんだろうか。目と鼻の先。かなり近い距離でAが笑う。
珍しいこともあるもんだ。普段から冗談をいうみたいに“あはは”と笑って見せることはあってもここまで声を弾ませるところはあんまり見たことがなかった。
もしかしたら、ハニヒョンのイタズラへの好奇心がAにも移ったのかもしれない。
｢驚きすぎ｣
HS｢お前なあ…｣
｢ごめんごめん」
｢ハムスターが目の前にいたから」
HS｢虎なんですけど」
｢え？」
HS｢え？」
はぐらかされた、そんな気がした。
俺が知りたかった“何か”は、あっという間にそのキレイな顔の裏へ隠されてしまった。
｢行こう。スニョン｣
HS｢は、どこに？」
｢いや、帰るんだよ。また年長者たちに怒られる」
Aを見ているとキレイな顔はひとつの武器だなと思う。こんな職業をしている以上それは当たり前のことだけど、それとは別に。
だって、嫌なことがあっても、泣きたいと思っても、作りものみたいに整ったその顔の裏に隠せてしまうんだから。
出会ったころから、自分のことを相手に教えない癖みたいなものがあった。
いや、それが本当に癖と言えるものなのかは分からない。癖っていったら無意識にやるものなんだろうけど、Aは多分“意識的”にそれをしている。あいつは、頭がいいから。
隠して隠して、はぐらかして。結局、自分たちが気づけないまま時間が過ぎて、解決している。
｢スニョンはさ｣
HS｢ん？なに？｣
赤信号の前で止まったときAが言った。その言葉の先に紡がれるのはきっとさっきの続きなんだと思う。なんとなくそんな気がした。
カバンを持っていた手に力がこもる。理由は何てことない。単純にこれから続く言葉に自分がしっかりと答えられるのか少し身構えてしまったからだった。
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柊(プロフ) - ぴょんさん» コメントありがとうございます。自分の文章にそう言ってもらえてすごく嬉しいです！こちらこそこれからもよろしくお願いします☺︎ (2022年9月26日 9時) (
レス) id: 1c5041063e (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - すごく深みのある文章で、読み応えがあります。とても面白い小説を生み出して下さりありがとうございます。これからも更新楽しみにしております(><)♡ (2022年9月26日 0時) (レス) id: 0051795449 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊
| 作成日時：2022年9月23日 17時
