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それから3日後。
珍しく起きてこないAをジフンと部屋まで起こしに行けば、部屋の一角に置かれた作業台で死んだように眠るAがいた。
ベッドの上には、この前来たときにはなかった大量の本が無造作に置かれている。
HS「これ生きてる?」
WZ「死んでたらどうする?」
HS「どうって…どうする!?」
こんがらがった自分を見て、ジフンが笑う。笑っている場合なのかどうか少し怪しいけど、大丈夫だとAのところへ足を進めたジフンは机に散らばった紙をいくつか眺めてまた笑った。
今度はどこか満足そうな顔をして。
WZ「終わったっぽい」
HS「え、なにが?」
WZ「ん。これ」
ジフンの手にあった2枚の紙。1枚目を見てみれば、Aの日本っぽさの残った字で何度も書き直して、塗り潰されて、そうやって出来上がった文章があった。
手紙?ちがう。それにしては雑だった。
よく分からないまま2枚目を見れば、今度は『Ready to love』と題された楽譜が顔を覗かせる。
HS「なにこれ。あ…歌詞?」
WZ「そう。今回Aにちょっと考えてみろって言ってたやつ」
WZ「これはまた重い歌詞書いたなあ」
歌詞に一通り目を通したジフンはそう笑っていた。重いって言いながら嬉しそうに。
何が重いのかと問えば、読めばわかるとだけ言って自分に紙を預けた。
“僕たちは一緒にいられる?”
“世界の反対へ逃げよう。僕の手を握って”
“一緒にいる準備はできてる”
この曲があのときのAの答えだと知るのは、もう少し先の話。
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柊(プロフ) - ぴょんさん» コメントありがとうございます。自分の文章にそう言ってもらえてすごく嬉しいです!こちらこそこれからもよろしくお願いします☺︎ (2022年9月26日 9時) (レス) id: 1c5041063e (このIDを非表示/違反報告)
ぴょん(プロフ) - すごく深みのある文章で、読み応えがあります。とても面白い小説を生み出して下さりありがとうございます。これからも更新楽しみにしております(><)♡ (2022年9月26日 0時) (レス) id: 0051795449 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2022年9月23日 17時