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6話 ページ7

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段々と周囲が知っている風景では無くなり、何処に向かっているのかと不安に思っているうちに目的地に着いたようで、彼は足を止めた。


「此処です」

『此処は……』


連れられた場所は、とある高級マンションだった。入口にある機械にカードキーを通し、エレベーターに乗り込む。最上階で扉が開き外に出ると、沢山の部屋が並んでいるのが見える。
然し不思議なことに、こんなにも大きなマンションだというのに、人が住んでいる気配すら感じなかった。


「どうぞ中へ」


促されるままに部屋に入ると、リビングはとても広く、白を基調とした家具が置かれていて清潔感があった。


「此処がぼくたち(・・)の家です。…嗚呼、すみません。ぼくとしたことが名乗るのを忘れておりましたね。ぼくの名前はフョードル・ドストエフスキー。どうぞお好きにお呼びください」


ソファに徐に腰を掛けると、端正な顔を少し傾けて私を見てきた。

────フョードル・ドストエフスキー。
その名を聞いたことがあるような、聞いたことがないような、不思議な感覚に襲われる。此の人は危険だ。本能がそう訴えかけている。此の人は信用してはいけない人だ。此の人は、此の人は……。
そうは思っているのに、"此の人と居ればあの人に再会出来る"という一筋の希望を信じてしまった私には、今更後戻りするなんてことは出来なかった。


『えっと。ドストエフスキー…さん。私の名は__』

「Aさん」

『!?』


名前を名乗ろうとした途端、遮るようにして言われた言葉に驚愕する。そんな私を見て彼はにこりと微笑んだ。


「AAさん。可愛らしい綺麗なお名前ですよね」


彼は組んでいた足を崩すと、ゆっくりと立ち上がり、コツコツと足音を立てて私の元に近付いてくる。咄嗟に後退りをするが、直ぐ後ろに壁の感触。彼との距離は、どんどん縮まっていく。


「ぼくが何者なのか知りたくて堪らないという顔をしていますね?……善いでしょう、貴女には特別に───と、云いたいところですが。残念ですが、貴女には教えられません」

『どうして、ですか』

「理由は簡単です。貴女が知るべきではないことだと、ぼくが判断したからです」


そう云うと彼は、私の頬に手を当てた。ひんやりとした冷たい手に、思わず身体を強ばらせる。


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設定タグ:文豪ストレイドッグス , ドストエフスキー , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
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めろん(プロフ) - 砂糖やよいさん» 嬉しいお言葉を沢山ありがとうございます;;滅茶苦茶頑張れそうです!思うがままに書いていくと思いますが良ければあたたかく見守ってやってください…! (2023年3月28日 1時) (レス) id: 0291e6dbfe (このIDを非表示/違反報告)
砂糖やよい(プロフ) - すごく素敵です!!!!語彙の豊富さと比喩表現がグサグサ儚くて胸にきました!ドスくんの恋愛観などめちゃめちゃに気になります。更新頑張ってください! (2023年3月27日 1時) (レス) @page6 id: 3762c357ba (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - Azuki☆さん» 嬉しいコメントありがとうございます!頑張ります🔥 (2023年3月27日 1時) (レス) id: 0291e6dbfe (このIDを非表示/違反報告)
Azuki☆(プロフ) - 続き楽しみにしてます…!更新頑張ってください! (2023年3月26日 21時) (レス) @page4 id: b75300cb40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:めろん | 作成日時:2023年3月26日 17時

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