5話 ページ6
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だが、心は彼を強く拒絶していた。今目の前に居る彼のことが、苦手だ。嫌いだ。
『……見ず知らずの貴方にどうこう云われる筋合いはありません。もう私に関わらないでください』
手を振り払おうとしても、彼は離そうとしない。それどころか、ぎゅっと握る力を強くして、震える私の手を包み込んでくる。
「ぼくと一緒に居れば、彼と再び会うことが出来ますよ」
『……え…?』
あの人と、太宰さんと、又た、会える。
其の言葉に一瞬心が揺らいだが、直ぐに夢から覚めたかのように冷静さを取り戻した。そんなこと、出来る筈がないのだ。太宰さんは、あの人は……マフィアですら、見つけられなかったのだから。
『そ、んなこと、無理ですよ。不可能です。第一生きてるかも判らないですし』
「出来ますよ。貴女がぼくを信じてくださればの話ですが」
紫の瞳に見詰められながら告げられる。まるで催眠術をかけられたかの様に、彼の言葉一つ一つが頭の中で反覆する。
私はマフィアの一員だ。初対面の、然も日本人でもない男のことを易々と信じるような女ではない。
なのに、何故だろう。
此の人が持っている、今私が抱えているどうしようもない悲しみや痛みを取り除いてくれる何かに、一瞬でも期待してしまったのだ。
『……信じたい、です』
気付いた時には既に遅く、声に出していた。そんな私を見て、彼は妖美な笑みを見せた。
「ふふ、そうですか。貴女ならそう云ってくださると信じていましたよ。それでは早速行きましょうか」
彼は私の腕を掴むと、私の返事も聞かずに足早に歩き出した。以外にも彼の力は強く、私は引っ張られるようにして誰も居ない公園を後にした。
「…漸く手に入れましたよ」
彼が何か呟いた気がしたが、私には聞こえなかった。
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めろん(プロフ) - 砂糖やよいさん» 嬉しいお言葉を沢山ありがとうございます;;滅茶苦茶頑張れそうです!思うがままに書いていくと思いますが良ければあたたかく見守ってやってください…! (2023年3月28日 1時) (レス) id: 0291e6dbfe (このIDを非表示/違反報告)
砂糖やよい(プロフ) - すごく素敵です!!!!語彙の豊富さと比喩表現がグサグサ儚くて胸にきました!ドスくんの恋愛観などめちゃめちゃに気になります。更新頑張ってください! (2023年3月27日 1時) (レス) @page6 id: 3762c357ba (このIDを非表示/違反報告)
めろん(プロフ) - Azuki☆さん» 嬉しいコメントありがとうございます!頑張ります🔥 (2023年3月27日 1時) (レス) id: 0291e6dbfe (このIDを非表示/違反報告)
Azuki☆(プロフ) - 続き楽しみにしてます…!更新頑張ってください! (2023年3月26日 21時) (レス) @page4 id: b75300cb40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めろん | 作成日時:2023年3月26日 17時