7話 ページ7
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さああとゆっくり流れる水の音。
ゆさゆさと優しいそよ風に揺られている草木の音。
離れた公園から聞こえる子供たちの元気な声。
此処まで長い時間川の中にいると、最初は冷たくてどうしようもなかった温度にさえ慣れを感じる。
何時まで此の状態なのだろうと太宰くんに尋ねても、「ううん、もう少し」と云うだけで、其れ以上は何も答えてくれなかった。おまけに腕の力も弱める気配すらない。
幸い此の付近は人通りが少ないため、この異様な光景を誰かに見られる心配は限りなくないに等しい────コツコツコツ。
足音が、聞こえる。
音がした方に目をやると、少し遠くの方に人影が見えた。
其の人影が大きくなるのと共に、足音も次第にはっきりと聞こえるようになる。
「あちゃー、もう頃合いだったかあ。残念」
少し肩を落とした太宰くんの、口惜しそうな声。
頃合いとは？残念とは？
こんな太宰くんでも、流石に此の姿を人に見られることには羞恥を感じるのか。だったら最初からやらないでほしかった。
ま、拙い。見ず知らずの人に初対面でこんな姿を見られるだなんて、控えめに云って最悪である。足音は未だ少し遠い。今からでも間に合う。……今直ぐ、川から出よう。
『っ！』
「あ、ちょ、Aちゃん、そんないきなり立ち上がったら、うああ」
『…やっと出れた……』
出れた。出れた。此処が水の無い世界。何時もの世界。
視界の端に派手に転んで痛たと嘆いている太宰くんが見えたが、今はそんなことはどうでもいい。足音はどんどん近づいてくる。……此の状況、如何説明しよう。
いくら姿を見られたくないからと急に逃げ出したらあまりに不自然である。……あ、川遊びだ。大の大人が何をやってるんだという感じだが、この際仕方ない。川遊びで話を通すしかない。
然し、そんな私の試行錯誤も虚しく散る。
其の人影の正体は──────彼の人だったのだ。
「あっははははは！！随分と間抜けな姿だねぇ太宰！こりゃ傑作だよ！」
目尻に涙を浮かべながら腹を抱えて笑う其の人物を見て私は愕然とする。
………何故、彼は此の
「あんな依頼、僕にかかっちゃ5分も要らなかったね。其れで暇になったからAに迎えに来てもらおうと思ったんだけど、電話かけても出ないからさぁ。態々探し当てたの。全く、無駄な労力使わせないでよね」
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めろん(プロフ) - ※さん» くん付けで呼ぶことがあまりないので、そういうお話を書きたいなあ…。と思って書いたのがこの作品なので好きになっていただけて嬉しいです！ぜひ続きをお待ちください^^ (2023年2月24日 17時) (
レス) id: 0291e6dbfe (このIDを非表示/違反報告)
※ - わ！！！太宰くんと呼ぶのがすごく新鮮で好きです！後輩に翻弄されまくる夢主ちゃんの未来しか見えない…。続き楽しみです! (2023年2月23日 18時) (レス) id: ae50cea684 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めろん | 作成日時：2023年2月23日 3時
