終電何してますか？眠ってますか？辞めさせてもらっていいですか？ (ページ22)

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徹夜十三日目ページ22

『え、そうですか？』
スバル「そうよ！」

うーん、そうだっけ。前もこんな感じだったと思うんだけど…
少し頭を捻りながら考える。
…幾ら思い出そうとしても、太宰さんと中也さんにウザ絡みされてる記憶しかないわ。
すまぬ、スバルさん。
折角言ってくださったのに、思い出せそうにありません。(？)
そろそろ歳かなぁ。
僕が何時まで立っても何も言わないからか、「あら、もう忘れちゃったの？」なんてお道化たように話すスバルさん。

スバル「最初は『話しかけてくんな』オーラ凄かったけど、今はそんな事無いわよ？」

うへ〜、そうだっけかなぁ？
確かにあの時期は未だグレ気味だった気がするけど。
昔かぁ。夜景、シャンパン、そして、深紅の血。
昔の事を考えると、すぐそれが真っ先に浮かんでしまう。

(あー、もう考えるな！これ以上は駄目だ！)

必死に頭を振って、気を紛らわせる。
急に頭を降り出した僕に、明らかな同様を見せるスバルさん。

スバル「え？Aちゃん大丈夫？」
『あー！あー！大丈夫ですぅ！！』

何も聞こえないように全力で耳を塞ぐ。
明らかに大丈夫そうではないが其れでも、其れでもスバルさんは安心した様子であった。
危ない、危ない。これ以上踏み込まれてたらきっと、僕は大変なことになっていただろう。
軽く掻いた汗を腕で拭いながら、半ば強引に会計済みの商品を引っ掴む。

『んじゃ、ご馳走様ですー！有難う御座いましたぁ！』

僕は慌てて店を出た。
スバルさんが帰り際にかけた一言にもっと注意していれば、良かったことも知らず。

＿＿＿＿＿
『おはよーございます、って誰も居ないか』

只今、午前八時。
何時もは国木田さんが社内の掃除くらいしてても良いはずなのだが(会った時絶対に「机を綺麗にしろ！」とか怒られる)、そんな国木田さんも今日は居ない。
可笑しいな。時間通りに来る人のはずなのに。
風邪でも引いたのか？

僕は不思議に思いつつも、自分の席に座った。
特にやることは終わらせたので、下ろしていた髪を縛ろうと引き出しからゴムとリボンを取り出そうと取っ手に手をかけた。
思い切り取っ手を引っ張る。

然し其処には、切られたゴムとズタズタ引き裂かれたリボンがあるだけだった。