終電何してますか？眠ってますか？辞めさせてもらっていいですか？ (ページ11)

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徹夜七日目ページ11

ジャキン、きゃぁッ、ビチャ、う”ッ

静かな月夜。
断末魔と血が飛び散る音が、気味が悪いくらいに響き渡る。
先程まで笑い合っていた両親は、床に倒れ、既に冷たくなっている。
銀河のような母の綺麗な髪は、深紅に染まり、父の頼もしい背中は痛々しく切り刻まれていた。

腕に怪我を追った僕は、部屋の隅で蹲っていた。
僕たちを襲撃した犯人に向かって、震えながら問う。

『貴方は…誰なの？』

何でこんなことを、までは言えなかった。
其れ以上に、恐怖が勝ったからだ。

「お前、其れを聞きたいのか？」

犯人は、此方を向いた。
翡翠色の瞳が僕を捉える。

「わらわの名前は、林、林芙美子だ」

林芙美子。交番の指名手配犯のトップにある名前。

ーいずれまた会うであろうー

「＿＿ろ、＿＿＿。＿＿ろ、A、起きろ、A！」
『んぁ！？』

ちゅ

『「は？」』

What do you mean?
いや、本気でどういうこと？
もっかい言うよ？Что ты имеешь в виду?

中也「急に英語とロシア語出すな！」

僕、中也に姫抱きされているんだけど。
その上、僕飛び起きて、キスしたんだけど。
ぼ、僕のファーストが…！

『僕のファーストキス、返せ中也！！』
中也「そんなこと言ったって、俺もファーストキスだ莫迦！其の言葉、そっくりお返しさせて頂くぜ！！」
『一生許さないからね！！！』
中也「上等だ！！」

お互い涙目になりながら、お互いを睨む。

突然中也が雰囲気を壊すように、口を開いた。

中也「そういや、テメエ魘されてたぞ。大丈夫か？」

其の瞬間、僕の脳裏に記憶がフラッシュバックする。
鉄の匂い、慣れない痛み、刃物の音、家族の死体、翡翠色の犯人。

僕は唐突な頭痛に、頭を抱えてしゃがみ込む。

『うぅ…！？ぐっ……』
中也「おい！？しっかりしろ！落ち着け！」

その後の記憶は、綺麗さっぱりない。
気づいたら、あまり帰って来ない、家のベットで寝ていた。

『どうしてあれが…』

ピロリン♪
此処に似つかわしくない軽快なメロディが携帯電話から流れる。
「太宰さん」と書かれた電子手紙を見る。

件名：何やってんの？蛞蝓と。

やっほ～A！中也から話は聞いたよ！
疲れてるだろうから、私が国木田くんに休む許可は貰ってるよ〜
明日話しは、ちゃんと聞かせてね？

……中也、何喋ったんだ！？

取り敢えず、電子手紙に返信する。

件名：何話したんですか？

休み、有難うございます。
ちゃんと仕事やってくださいね？

これで良し！