重力遣いの新相棒【文豪ストレイドッグス】

殺気 ページ8

〜中也side〜



あれから時間はすぐに過ぎていき、気付けばもう、仕事しに行く時間になっていた。


仕事というのはもちろん、資金を横流ししやがった馬鹿野郎どもの組織を潰すことだ。


だから、俺とAは、その下部組織のある場所へ向かっていた。




…が。



「ねえ中也ぁ…お腹すいたから、ご飯食べに行きたい……」


「お前は馬鹿か！！仕事終わってからにしろ！！！」


「無理…お腹がぐぅぐぅ鳴ってるし……」


「知るか！！」






まったく…


なんでこいつは、こうもマイペースなんだ……






「もう、歩けない…中也、おんぶ……」


「だれがするか！！」




俺はこいつをズルズルと引きずる。


「中也、背中がこすれて痛いんだけど…」


「だったら自分で歩きやがれ！！！」


「うぅ…」



Aはしぶしぶといった感じで、再び自分の足で歩き出す。




それから、五分ぐらい歩くと、例の下部組織の根城に着いた。



「あーあ、ようやく着いた…」


「ったく…ここまで来るのに精神的に疲れたぜ…」


「大丈夫ー？」


「お前のせいだ！！」


「あはは、ごめんごめん。じゃあ、私と中也をここまで疲労させてくれた裏切り者共には…




とっとと死んでもらおうか」




…ゾクッ


背筋に悪寒が走る。



いつまでたっても、これには慣れない。

こいつの、Aの殺気には……



他のヤツらが出す殺気なんて、たかが知れているが、Aのは格が違う。

もちろん、うちの首領の殺気も凄いが、そんな首領ですら黙らせてしまう殺気の持ち主。

おまけに、こいつにとってこの程度は全然本気でも何でもない。


Aが殺気を全開にしたら、どうなるのだろうか……





でもまあ、今はそんなことを考えている場合ではない。




「んじゃ、とっとと終わらすぞ、A」


「ラジャー！」




俺とAは視線を合わせて、にやりと笑う。


そして、俺はチャチそうなドアを蹴破った。

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