重力遣いの新相棒【文豪ストレイドッグス】

認めること ページ32

〜中也side〜



「たっだいまー！！」



Aがいつものように、騒々しく部屋に入ってきた。



「帰ってきたか」


「うん、楽しかったー！！」


「そうか。お、そういえば、人虎は？」


「ああそれなんだけど……逃した」


「はあ！？」


「私がいたのに……ごめんなさい」


「…そんな態度で誤魔化そうとしても、無駄だ」


「え？」


「どうせ最初から人虎のことには興味なかったクセによく言うぜ」


「あっははー、バレちゃった！！」


「バレるに決まってんだろうが！！」



俺はこいつの頭を思いっきり叩く。



「いだっ！？暴力反対！！」


「お前が悪い！！」





はあ…ったく。


まあいつものことだし、良いんだけどよ。

ただ首領に何か言われないか、それは少し心配だ。

多分大丈夫だとは、思うけどな。




「まあ運悪く今回は邪魔が入ったしね」


「邪魔って？」


「太宰だよー」


「そっか太宰か……って太宰ィ！？！？」


「うん」


「うん、じゃねーよ！！どうしてあいつがいたンだよ！！」


「だって太宰は今探偵社にいるんだよ？人虎は探偵社社員なんだから太宰が噛んでてもおかしくないでしょ」


「…はあ、もういい。一気に疲れた」


「お疲れー」


「うるせえ！！！」




俺がどなると、Aがクスクス笑う。

もう一回叩いてやろうか、という思いをなんとか抑え込む。






「まあ太宰は、下手に手を出してきたりはしないよ、中也。それに……」


「それに？」


「…私は中也と鷗外の身に何か起きなかったら、それで良いんだ」


「……」


「命の恩人だし、あの当時私を認めてくれた唯一の人だからね」


「…ああ」


「だから…中也や鷗外、マフィアにたてつく輩は全部ぶっ飛ばすよ」


「それは俺も同じだ。マフィアをどうこうしようと言う奴らは全部消す。昔はクソ太宰が相棒だったが、今は違う。新相棒は…お前だ」


「あらら、そんなに認めてくれてたんだ」


「ああ、いちいち面倒くさい奴でもあるが、俺の相棒はお前だ。だからお前が死ぬことは許さねえ」


「…っ！」


「分かったか？お前にとって俺が失いたくないものなら、俺にとって失いたくないものはお前だ。首領にとっても一緒だ」


「…そっか。だったら、中也も勝手に死んだら許さないから」


「はっ、俺がそんなヘタレだとでも？」


「ううん、まさか」






そう言って、Aは俺の方を見て、笑う。


俺もその笑顔を見て、笑い返した。

暇→←恩人

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す