鷗外 ページ4
「…ったく、首領の部屋まで行くのに、こんなに疲れるとはな……」
「それはおめでとう、中也」
「お前のせいだ!!」
「ごめんごめん…でもやっぱり気が重い……」
「いいから入るぞ!!…失礼します、首領」
中也がドアをノックして入る。
私は中也の後ろに隠れる。
中也はため息をつくだけで、もはや何も言わなかった。
「中也君か、昨日の報告書か何かかい?」
「ええ、そうです」
そう言って、中也は首領に書類を渡す。
「ありがとう、中也君。ところで、先ほどから気になっているのだが…中也君の後ろにいるのは、もしや……」
…ヤバい。
私は心の中でダラダラと冷や汗をかく。
お願い中也、なんとか適当に誤魔化して……!!!
…まあ、こんな願いが中也に届くはずもなく。
「こいつも書類を届けに来たんですよ、なァ、A?」
…この野郎、確信犯だな。
その証拠に私を見て、ニヤニヤしている。
あとで覚えとけよ、中也め…
私は心の中で、中也に文句を言う。
しかし、ここまで来たらもう誤魔化すのは不可能だ。
私は腹をくくって、中也の背中からおずおずと顔を出した。
「やっぱりAちゃんじゃないか!最近会えなかったから心配していたのだよ」
「…うん、久しぶり、鷗外」
「元気そうで何よりだよ!あ、そうそう、この間Aちゃんに似合いそうなドレス、買ってきたから着てくれないかな?」
始まった…
鷗外は、昔から私にドレスを着せるのが好きだった。
そういう時はいつも、見返りに何かを要求してたんだったっけ。
だがさすがに、16歳になってまで、鷗外に振り回されたくはない。
「ありがとう鷗外、気持ちだけもらっておくね」
「気持ちだけでなくて、着てくれるともっと嬉しいんだけど…」
「うん、それは結構です。それに鷗外悪趣味だし」
「非道いよAちゃん!でも可愛いから許す!」
「……」
もはや、言い返す気力も無くなった。
そんな状況をさすがに見兼ねたのであろう中也が、やんわりと割って入ってくる。
「それで首領、この間おっしゃっていた、『裏切り者がいる』というのは…」
「ああ、そうだ、その件なんだけど、君たちに任せたいんだ」
「その話、私知らないから、もうちょっと詳しく聞かせてもらってもいい?」
「Aちゃんの頼みなら、もちろんだよ!」
そんなことを言って、鷗外はその裏切り者とやらの話をし始めた。
149人がお気に入り
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユイ(プロフ) - konohaさん» konohaさん、もう見てくださったのですね!ありがとうございます!紅葉姐さんの口調、難しいです(ー ー;)これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2016年3月9日 14時) (レス) id: c73290e85b (このIDを非表示/違反報告)
konoha(プロフ) - ユイさん» 参加して下さりありがとうございます!早速見に来ました〜!まだ途中までしか見ていませんが、紅葉さんの口調がとてもいいですね!これからも更新頑張って下さい!続き楽しみにしています! (2016年3月9日 13時) (レス) id: d306aa4c78 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 吹雪始音@色松さん» 鈴ちゃん、読んでくれたんだ!ありがとうございます!そんなに褒めてもらえるなんて…!!紅葉姐さんの口調、難しいです、今研究中(⌒-⌒; )これからも頑張って更新しますね、始音ちゃんも頑張ってね( ´ ▽ ` )ノ (2016年2月24日 2時) (レス) id: c73290e85b (このIDを非表示/違反報告)
吹雪始音@色松(プロフ) - ユイさん、どうも!
読ませて頂きました、鈴こと始音です(`・ω・)
夢主ちゃんのキャラ可愛いですね!そして紅葉姐さんの口調とか上手くて羨ましい限りです(笑)
これからも頑張って下さいねっ♪ (2016年2月22日 22時) (携帯から) (レス) id: 6e22eac2fd (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 山ノ内さん» わあ!わざわざコメントまでありがとうございます!!頑張って更新します!山ノ内さんの作品も続き楽しみにしています! (2016年2月10日 23時) (レス) id: c73290e85b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユイ | 作成日時:2016年2月2日 0時