09.ビジネスホテル ページ9
「ホテルのベッドって寝にくいですよね」
ビジネスホテルのベッドのシーツを張り替えている時に志野が織部に話しかけてくる
「そうですか?私はよくホテルに泊まるのでよくわかりません」
「織部さんはよく一人旅をするんですか?」
「旅は常にしています」
「バックパッカーですか?」
「まあそのようなものです」
「楽しそうですね」
そう言って会話が途切れてしまった
シーツを張り終えて部屋を出た後
あの時に「寝にくいですよね」と言っていたらどんな会話になるのか気になった織部は、次の部屋に入ると「志野さんはホテルで寝れないタイプなんですか?」と会話を続けようとした
「私はどこでも寝れるタイプですよ」
「じゃあなんで寝にくいって言ったんですか?」
「寝れるには寝れるんですけど、綺麗すぎて、生活感が無さすぎて嫌なんですよね」
「それが好きな人もいると思いますけど?」
「人には自分だけが気付かない匂いがあるんですよ。自分の家だとか、部屋だとか服だとか。
普段使ってる柔軟剤の匂いがわからなくなっても、近所の人から良い匂いって言われたり」
「それは嗅覚が慣れて認識しなくなっているんですよ。自分の加齢臭に気付かないのと一緒です」
「加齢臭と一緒にされるのも嫌ですけど…実は昨日天気が良くて布団を干したんですよ。
掛布団を抱えて外に出たら、風に乗って布団から匂いがしたんですよね。
その時に"あっ!?これが私の匂いなのか!!"って気付いたんですけど」
「わかります。寝る時は特に意識していないし、何とも思わないんですけどね」
「ですよね。で、夜気にして布団に入ってみたんですけど、お日様の匂いがして、考える前に気持ち良くて寝落ちちゃったんですよね」
織部は可愛い人だなと思いながら、志野と一緒にベッドのシーツを張り終える
「じゃあ私の寝つきが悪いのは、お日様の匂いが足りないんですかね?」
「それもあると思いますけど、きっと生活感のある匂いが足りないんですよ。
誰でも落ち着く、安心感のある慣れた匂いが無いとリラックスできないものですよ」
「それは私にとっては志野さんの匂いですね。
最近寝不足なんです。今夜は志野さんの布団で寝に行ってもいいですか?」
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梼(プロフ) - 13日の金曜日さん» あっ。正解w元は鬼灯で書いてたものを引用して名前変えだけですからw (2015年7月28日 19時) (レス) id: 50aca512b0 (このIDを非表示/違反報告)
13日の金曜日 - 白澤とか唐瓜とか出てきて鬼灯○冷徹かと思った自分を殴ってやりたくなる、今日この頃 (2015年7月28日 14時) (レス) id: e33d5cb0ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鋳 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toshi6411/
作成日時:2015年5月9日 5時