ずっと、追いかけてきて。【怪獣８号】【保科宗四郎】 (ページ1)

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Aサイド

「・・・・ん、」

"なぜか"目が開き、視界に入ってくる暗い夜空。

私・・・小鳥遊小鳥遊(たかなし)Aは、コンクリートの地面に座り込んでいた。

なぜか高校の制服で。

あれ、なんで外にいるんだろ・・・。

私、さっきまであそこにいて、余命来ちゃって天に召されたはずじゃ、

＿＿＿＿ドォォォンッッ

地震と錯覚するような地響きに、目の前の家が崩れ去り、ぼーっとしていた意識がはっきりする。

「え、えっ・・・？」

これは、幻覚なんだろうか。
ここはもしかして地獄、なの？

私の見上げる先には、物凄い大きな物体。

口と思わしきところをニチャァ・・と開け、私を見つめてくる。

口の間から見える歯が、鈍く光った。

ねぇ、もしかして。もしかしてだけどさ・・・

「・・・嘘、でしょぉっ？！」

＿＿＿＿＿ギェェェッッ

明らかに人間では無い見た目。
物凄い力。

なにか既視感がある、この感じ・・・

・

「・・・か、怪獣８号の世界じゃないっ？！」

転生なんて、あるわけないと思ってたけど。

怪獣が怪獣だからね・・・。

こう見えても私、漫画何周したと思ってるの？

推しのシーンなんてページがすりきれるくらい読んだ。

どうせ現世に戻っても、検査や手術の繰り返し。

せっかくなら、推しに会おうじゃないか。

あわよくば防衛隊に入って、隣に並びたい。

だから、残念だけどここで死ぬわけにはいかない・・・・んだけど、

「・・っ、たす、け・・て・・・！！」

追いかけてくる怪獣と、ひたすら逃げる私。

この怪獣、足が遅いっぽいんだけど、多分・・その弱点がある代わりに攻撃力が高いはず。

一撃でもくらったら一巻の終わり。

「・・っぅ、痛っ、」

走ってる時に足に違和感を感じた。

目をやると、何か草のつるみたいなのが巻き付いている。

これ、怪獣のやつじゃない？

そう思った時にはもう遅くて。

私はギュンッと引っ張られ、あっという間に怪獣の手の中。

「痛い・・！離してっ！離してよっ！」

ギュウゥと握りしめられ、意識が飛びそう。

ああ、また死んじゃうのかな。

せっかく・・・人生を、やり直せると思ったのに。

フッと意識を手放す直前、人影が見えたような気がした。