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体育館を出てゆっくりと歩いている私たち。

何故か手は繋がれたまま。




『あのっ、私お婆ちゃん…』

「大丈夫やで、さっきメール来て冨田さんと帰る言うてたわ。」


北さん家の近所の冨田さん。実際に会うたことはないけど、話は何回か聞いていた。



「そういえば、お互い伝えたいことあるって言うてたもんな。」


『そう、でしたね…』



あかん、いざ2人きりになると緊張と恥ずかしさで頭パンクしそうや……。

北さんはいつも落ち着いとって、冷静で…私とは大違いやなぁ。


無意識に手を握る力が強まってひやっとしたけど、握り返される力はもっと強かった。


「ちょっとだけ、寄り道してもええ?」


『えっ、わ、私は大丈夫ですけど…』


良かった、と北さんは柔らかい笑みを私に向けた。



.



「人が少ないから、丁度ええな思って。」


『静かな場所ですね、北さんらしいです。』



着いたところは、あまり人が通らない川沿い。


夕日の光が川に反射してキラキラしとる。綺麗や。



近くにあったベンチにお互い腰掛けて、川に照らされた光を見つめる。



『私、今まで人と関わるのあんま好きやなかったんです。どうしても侑と治の話になるし、まぁ、前よりはマシになったんかなとは思いますけど。』


「あれから2人とはどうや?」


『前よりも話すようなりました。全部北さんのおかげですよ。』


「俺?」


『北さんおらんかったら、今日も試合見に来ること無かったし、今でもあの2人と話なんかしとらん。』




あのな、北さん。


私めっちゃ感謝してんねん。




『北さんがおったから…私……ぁ、』



あかん、あかんて。


こんなとこで泣いたら、伝わらへん。



『北さんには、感謝しかなくて、…ッ、』


「うん。」


『やから、ありがとうってまず言いたくて…、』


「A。」


名前を呼ばれ、慌てて涙をぬぐう。

大丈夫、まだ号泣まではいってないから目は腫れとらんはずや。




「俺やって、Aにめっちゃ感謝しとる。」


『え、』




北さんは私の頭を優しく撫でた。


「俺もな、Aがおったから前よりもよりバレー頑張ろうって気持ちになれたんやで。」


『北さん、…』


「気がつけば、Aのこと目で追うようなって。

会えん時でもAどうしとるかなとか、……何や恥ずかしいな。」



初めて赤く頬を染める北さんを見た気がした。







『北さん、好きです。』


呼吸をするように、するっと言葉が出てきた。





.

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さっちゃん - めっちゃ面白かった!なんかもう、言葉にならない…。感動😭 (4月24日 20時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいも - めっちゃ面白かったです!感動して泣きかけました...!神作を有難うございました!! (4月20日 18時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
こめつぶ(プロフ) - めっちゃ神作でした…!!!親と兄弟が目の前にいるのに何度も涙出そうになって、めっちゃ堪えました。本当に素敵な作品、ありがとうございます!!!!多分これからもリピートさせていただくと思います!!(() (4月8日 16時) (レス) @page50 id: e94f7d2b88 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 神作ッ!!!主様天才すぎます。3周目に突入したのに涙が... (4月4日 0時) (レス) @page47 id: d24603059d (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - なるほどなぁ、、神、 (4月3日 1時) (レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にろ | 作成日時:2020年5月17日 14時

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