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北さんの手は大きくて温かかった。


きっと本人は無意識なんか心配で繋いでくれとるけど


流石にここまでされたら意識せんわけないやん。








『ほんまにすみません……』


結局家まで北さんは送ってくれた。めっちゃ申し訳ないなぁ…



「俺は平気やけど、気ぃつけや。夜はどんな人が彷徨いとるかわからんからな。」


『はい!』




良い返事や、と北さんはそう言ってまた私の頭を撫でた。


優しくて、頭が少しふわふわする。




『北さんに撫でられんの、何や不思議です。』



「すまん、嫌やったか?」



『い、いえっ…!寧ろ好き……』



バッ!!と慌てて口元を手で抑える。


やば、今何て言おうとした私よ。


頭よしよしされんのが好きて……子供か!!



『す、すみません…あはは…』


「A。」


『へ?』




北さんの手が私の頬に触れて、距離が近くなる。



待って待って何されるんだ待って。





距離はわずか10cm。






『あのっ…き、北さん…まだ心の準備が…』



思わずぎゅっと目を瞑るが、特に何かがあったわけでもなく。




「ん、取れた。」


『えっ』


「ひっつき虫おったから。」


『え!?あ、はい!ありがとうございます!!』



自分の思っていたことと違いすぎて恥ずかしくなる。私はなんてことを……



「ほなお休み。今日はありがとぉな、また月曜日。」


『あっ、は、はい。おやすみなさい。』


北さんにぺこりと頭を下げて家に入った。








「……危なかった。」







.





「あ、A。ツムさっき帰ってき……」


『ただいま…どうしたん?』



治は目をぱちくりさせて私をまじまじと見る。



「熱あるん?顔真っ赤やで?」


『へっ、』




ぺたぺたと頬を触るとめちゃくちゃ熱かった。


ちなみに何故か心臓の鼓動もバクバクとうるさい。



『(これって、まさかのあれ…?)』


「A?」


『えっ?あ、うん何て?』


「いや、何も言っとらんけど…」


すると上から誰かが降りてくる音。





「『あ。』」


侑やった。


と同時に彼は少し罰が悪そうな顔をして、ふいっと踵を返した。




「あいつ帰って来てから変におとなしくてキモいねん。」


『えっ、意外。』


「何や悪いもんでも食ったんやろか。」





その時、ふと北さんの言葉が浮かんだ。






"Aのことちゃんと見とる人おったで。"





"もしかしたら俺より見とるかもなぁ。"





『………?』



………侑?





.

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さっちゃん - めっちゃ面白かった!なんかもう、言葉にならない…。感動😭 (4月24日 20時) (レス) @page50 id: c5a0fb1f72 (このIDを非表示/違反報告)
さつむいも - めっちゃ面白かったです!感動して泣きかけました...!神作を有難うございました!! (4月20日 18時) (レス) @page50 id: 29094487c6 (このIDを非表示/違反報告)
こめつぶ(プロフ) - めっちゃ神作でした…!!!親と兄弟が目の前にいるのに何度も涙出そうになって、めっちゃ堪えました。本当に素敵な作品、ありがとうございます!!!!多分これからもリピートさせていただくと思います!!(() (4月8日 16時) (レス) @page50 id: e94f7d2b88 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - 神作ッ!!!主様天才すぎます。3周目に突入したのに涙が... (4月4日 0時) (レス) @page47 id: d24603059d (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - なるほどなぁ、、神、 (4月3日 1時) (レス) @page50 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にろ | 作成日時:2020年5月17日 14時

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