＿私は希望を捨てた

願い　byあき ページ24

はぁ。

ため息が漏れる。


希望(のぞみ)との過去を思い出すだけで、心が押し潰されそうになる。




やっぱり、寂しい。

希望(のぞみ)、戻ってきてよ。

私と玲を置いて行かないで。

ねぇってば。


私の涙は、止まることを知らない。



そんな中、ふと考える。

ここは神社。

願えば、希望(のぞみ)が戻ってくるのでは、と。


そんなこと、あるわけない。


そんなの分かっている。


でも、少しでも気持ちを楽にしたかった。

すがりたかった。



私は、スマホで玲を呼んだ。


玲は来るなり、私の顔を心配そうにみる。


玲「急に呼び出して、どうしたんだ？」

私は、玲の言葉を無視した。


優梨「ねぇ、玲。一緒にここで願おう。希望(のぞみ)が戻ってきますように、って。」


玲はなんと答えるだろう。

こんな歳になって、願うなんてバカみたい、とでも言うだろうか。


それでもいい。

ここで願いたい。


この神社は、私と希望(のぞみ)の最初で最後の出会いの場所だから。



でも、玲は、私の考えとは、全く違うことを言い出した。


玲「あぁ、いいぜ。」


私は目を丸くした。

だって、この神社で私と希望(のぞみ)が出会ったのは、たとえ玲だとしても、知らないはずだもの。


きっと、玲は何かを察してくれたのだろう。


私と玲は、参拝した。

お互いに手を合わせ、希望(のぞみ)だけを考えて。



希望(のぞみ)、帰ってきて。

希望(のぞみ)がいないと、私と玲が壊れちゃうよ？

だから、また私と玲に希望(のぞみ)の笑顔を見せて。

それだけで、私と玲は、また元気になれるから。


希望(のぞみ)「ふふっ。もうすぐ会えるよ。」


の、希望(のぞみ)！？


私は急いで顔を上げた。

さ、さっき、たしかに希望(のぞみ) の声が聞こえた。


辺りを見渡すと、玲も私と同じように驚いていた。


優梨「玲も聞こえた！？」

慌てて聞く。


玲「あぁ！希望(のぞみ)の声がはっきりと！」


まさか、本当に希望(のぞみ)が帰ってきたのかも！


その場を離れて、希望(のぞみ)の姿を探す。

でも、いくら探しても、希望(のぞみ)の姿は見えなかった。



聞き間違いだったのかも……。

せっかく、また会えたと思ったのに。


私が肩を落としていると、玲が言った。


玲「たしか、希望(のぞみ)は“もうすぐ会える”って言ってたよな？」

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