クールアーヤの過去は知っている

悪くない ページ28

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「立花の家族はもうこの世に居ないのは確かだ。」

忍が紫色の瞳を静かに細めた。



……私が悪いんだ、忍が悪いわけじゃない。

そう思うのに、忍の言葉に沸々と怒りがこみ上げるのは確かだった。



すると、忍はふと目を和らげ、笑ったんだ。

「でも、ちゃんとここに居る。」



ニッコリ笑う姿は様になっていて、思わず目がうばれる。




って、この世に居なくてここに居るってどういうことだよ！



忍の胸に埋めていた顔をガバッとあげた。

忍の天然発言にはついていけねぇ。



呆れてため息が出る。

「お前なぁ、天然もほどほどにしろよ。」

「何か勘違いしてないか？
　立花の家族は、魂として立花の周りにいるんだ。」




……はぁ！？

忍の言葉を鵜呑みにして、慌てて自分の辺りを見渡した。



何も見えないけど、そこにいる気がする……。

流石に単純すぎるだろうか。




忍の腕からスラッと抜ける。

そして、玄関から少し出て、自分の家を見上げてみた。



ここにママもパパもお兄ちゃんも奈子も、全員居るのか？


もし居るなら……もう一度謝りたい。

自分の愚かさをもう一度伝えたい。



そうしたら、自分の罪が軽くなる気がしたから。




私は弱いんだ、どうしようもないくらい。

罪を軽くするなんて、逃げることと同じ。



でも、それでも、そう本能的に動いてしまった。


ごめんなさい。



忍は玄関から離れた私の腕を掴み、ニコッと口角を上げた。

「立花が1番家族に伝えたいことはなんだ？
　本当に言いたいこと。

　俺が代わりに言ってやるよ。」



忍の言葉に甘え、私はただこう言ったんだ。


“幸せになる権利をください”




私には……幸せになる権利がありますか？

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幸せ　→←こんな私でも

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