クールアーヤの過去は知っている

彩の過去　？？side ページ8

昔の彩に何があったか。

気になるかい？

代わりに私が説明してやろう。


今から話すことは、とても恐ろしいことだ。

それでも聞くかい？

彩の味方でいれるかい？





あれは、彩が小学6年生の時だった。

そう、KZと出会う少し前。


彩は普通の小学生で、よく笑う子だった。

今の彩とは大違い、いや、真反対。


家族にも恵まれていた……。



今の彩が、どうしてあんなに笑わなくなってしまったか。

完璧人間のようになってしまったのか。


それは、家族に関わりがある。


彩の家族は、全員、優しく彩を大切にしていた。

また、彩自身も、家族を大切にしていた。


でも、そんな平和は決して続くものではない。


ある静かな夜に、サイレンが響く。



そのサイレンは、消防車とパトカー。

それに、救急車。


サイレンが鳴る場所は、彩の家の前だった。


これで分かったかい？


そう。

彩の家が火事に遭ってしまったのだ。



これは連続放火魔のしわざ。



消防車が来る中、家はすでに炎に包まれていた。


もう、みんな、燃えてしまっただろう。

誰もがそう思った。


だが、彩と妹の奈子だけ生きていた。



彩と奈子は、熱い炎の中、必死に出口を探した。


互いに手を繋ぎ。



そうして、2人はやっとの思いで出口を見つける。



だが、2度めの悲劇は訪れる。









突然、屋根が崩れてきたのだ。


それにいち早く気づいた奈子は、少し前に居た彩を思いっきり押す。



彩は押された勢いで家を出れた。



だが、奈子は、彩を押したことによって、逃げるのに間に合わず、崩れた屋根の下敷きに。




そうして、5人家族の彩達だったが、彩以外の残り4人は、火が消えてから見つかった。









たしか、それからだっただろうか。








彩の感情は消えていった。





何かも自分を責め、自分が弱かったから。

バカだったから、家族を誰1人助けられなかった。


そう思うようになっていた。




そして、必要以上の完璧を求めた。


勉強や運動を完璧にし、感情を消していった。




これ以上、辛い思いをしないために。

させないために。



そうして、彩は中学生。



彩は、静かに、こなしていこう。

そう決心していた。





だが、KZという仲間に出会ってしまったのだ。


残酷な運命とは、まさに、このようなことを言うのだろう。




彩は、少しずつ笑うようになった。

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