僕っ子アーヤは知っている

あいつら ページ10

「ここが特別教室だ。」

先生は扉を押す。



僕と同じクラスの人はどんな人なんだろうっ！

ワクワクしながら扉の向こうを覗いた。



そして、先生が扉を押し切った時、思わず目を見開く。



「同じクラスメイトになる奴らだ。
　右から順番に、若武、上杉、小塚、黒木。


　若武はウェーブの若武と言われていて、テストの点数の差が激しい。
　良い時は三谷Cの奴らが青ざめるほど良いが、悪い時は受験Aスレスレ。


　次に上杉。
　数学が抜群に得意で、いつも一位をキープだ。
　上杉自身も数学を愛していて、数の上杉って呼ばれている。


　次に小塚。
　社会と理科がいつも一位。
　だから、社理の小塚。


　最後に黒木だ。
　本来三谷Cに入れる実力があるが、出席日数が足りないから三谷Bだ。」





へぇ、なるほど。

それにしても個性が強い人たちだなぁ。




特に僕が謎に思うのは二人居る。



僕は数学苦手な方なんだけど、数学を愛してる上杉っていう人。

それに出席さえすれば三谷Cなのに出席しない黒木っていう人。





……じゃなくて！！

ワカタケっていう名前……自転車で事故を起こしかけた人だ。




それに、若武の周りにいた冷酷そうな上杉。

大人っぽい雰囲気を纏う黒木。



唯一知らないのは、小塚だけだ。





先生は若武たちの方へ体を向ける。

「これから入る立花だ。
　国語がよく出来る。

　仲良くしろよ。」




そう言いながら、今度はこちらに体を向けた。

「じゃ、もう帰っていいぞ。
　今回は顔合わせだけだ。」



先生は出て行く。



うーむ、特別クラスに入ろうと思ってたけど、メンバーがなぁ。

やっぱり……やめよっかな。




考えながら、僕もその場を離れようとすると、若武がそれを止めた。

「おい、お前新人だろ。
　先に入ってた俺らに自己紹介しろよ。」




うっ、威張ってる！

いいよ、とびっきりの挨拶をしてやる！



僕は若武たちにしっかり向き直り、皮肉に笑う。

「立花彩斗です。

　数の上杉、社理の小塚、変な黒木、事故を起こしかけても平気でいられる人でなしの若武。
　これからよろしくお願いします。」



嫌味たっぷりの言葉を発した後、華麗に頭を下げる。


ふん、ちょっとくらい反省すればいい！



「おいっ、立花っ！」

若武の声が頭から聞こえ、顔を上げた。




若武は、いかにも怒っていて、顔は噴火寸前。

だから、僕はプラスで舌を出して、あかんべえをしてやったんだ。

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