俺がいる…… *続き* ページ30
やっとの思いで、帰ってくると、空港で若武たちが待ち構えていた。
おっかない顔をしていて、あいつらの怒りがモロに伝わる。
きっと、俺も小さい子供なら大泣きするような顔をしているんだろう。
俺は親父を置いて、若武たちへ向かって走った。
「立花は?」
若武は首を横に振る。
「まだ意識不明。」
くっそ……っ!
俺は無性に怒りをぶつけたくなった。
俺が気楽に旅行をしている間に立花があんな目に遭ったんだ。
こうしていられるのは、立花のおかげなのに。
自分に腹が立ち、立花を事故に合わせたという奴が憎かった。
なんで、立花なんだ!?
唇をかんでいると、黒木が言う。
「アーヤの病室へ行こう。
さっき、手術が終わったらしい。」
俺は頷き、若武たちについていった。
“早く立花に会いたい”
そんな強い思いが、俺の足を早まらせた。
*
立花のいる病室に着いて、中に入ると、酷い状態で横たわる立花が目に入った。
赤く染まった包帯が立花の体を包んでいる。
顔はそれほど傷付いていないが、身体は見ていられないほど、傷が酷かった。
目を瞑る長いまつ毛が光り、白い顔の肌がふんわりとして、静かな吐息が聞こえる。
思わず、見惚れてしまうほど。
けれど、それには似合わない表情だった。
いつもの花のような笑顔が1ミリも感じられない。
今になって悲しみが溢れ出す。
「立花……っ。」
若武たちも泣いていた。
立花のこんな姿を見ていると自然にそうなったのだ。
あんなに強がって、頑固で、真っ直ぐだった立花。
それが何も感じられないこの状態。
立花を好きだったからこそ、尚更辛かった。
俺は心に決め、立花の包帯だらけの手を優しく握る。
「必ず……、必ず俺が立花の仇を打つ。
だから、仇を取った時、目覚めてくれ。
俺のために。」
*
あれから、数日が経った。
俺らは見事に犯人を特定。
目撃者も居たことから、割とすぐ見つかった。
立花と同じクラスの奴らしく、七鬼と親しくしていたことに嫉妬したんだと。
結局、俺らの圧力に怖気付いたか、その犯人は何度も謝罪し、もちろん慰謝料を払うことも決定済み。
俺たちは満足し、眠っている立花にそのことを報告する。
……けれど、幾日経っても、立花が目覚めることはなかった。
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にゃ〜 - 私、ヤンデレ知らなかったけど、コレ見たら好きになった! (5月13日 21時) (レス) @page45 id: 26a4d90e30 (このIDを非表示/違反報告)
にゃ〜 - ブラックkz大好きだから嬉しい! (5月6日 10時) (レス) id: 26a4d90e30 (このIDを非表示/違反報告)
shiu - 他のヤンデレの小説増えるといいなー【ぬしさんがあまりにもすごいヤンデレ小説を書いたからヤンデレKZもっとみたくなった人】 (2022年10月15日 20時) (レス) @page45 id: b2b43a1e98 (このIDを非表示/違反報告)
shiu - ヤンデレ俺も好きー (2022年10月15日 20時) (レス) @page44 id: b2b43a1e98 (このIDを非表示/違反報告)
ゆか - 作品を見てブラックに目覚めました…!素敵なお話ありがとうございます!! (2022年7月2日 21時) (レス) @page27 id: c6a98f33d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あき@草売り大魔王 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp
作成日時:2020年10月17日 12時