立花彩には背後霊が居たようで

名前候補 ページ9

みんなは納得したように軽く頷いた。



ふぅ、危ない……。

KZ全員鋭いからなぁ。



そういえば、背後霊はどこに行ったんだろう。

辺りを見渡す。



でも、どこにも背後霊の姿は見つからなかった。

またお散歩かなぁ。



まあ、サプライズだから、いない方がいいか！


「それで、名前、何がいいと思う？」




みんなは少し考える素振りを見せた。



「やっぱり、ここは俺のような天才になるように“和臣”じゃね？」

若武は自信満々に口角をあげた。


すると、上杉君が若武を叩く。

「馬鹿じゃねぇの？
　お前と同じ名前なんぞ、その子供が可哀想だ。」


上杉君の叩いた手を振り払う若武。

「ざけんな！だったら、お前は何にすんだよ！」



上杉君は動きを止めた。



……どんな名前にするんだろう。



やっぱり有名な数学科学者とか？

それとも、普通に良い名前を出してくれるのかな？




小さな期待と好奇心を胸に、私は上杉君をじっと見た。



やっぱり数学科学者の名前とか出してきそう……。

だって、あの数学オタクだもの。



すると、上杉君は視線に気づいたらしく、そっぽを向いてしまった。



えっと、これは照れた時……の反応だよね。

でも、今は照れるようなことはなかったと思うんだけど……？




上杉君はそっぽを向いたまま、ポツリと呟いた。

「彩樹(あやき)。」



しばらく、辺りが静まり返ったが、黒木君が笑い始めたことをきっかけに、みんなも笑い始め、辺りは明るかった。

当の本人は唖然としているけどね。



「上杉教授、珍しく普通の名前だな。
　由来はなんだ？」


「立花みたいに優しいやつになって、裕樹さんみたいにかっこよくなるように。」

上杉君の顔はもう耳まで赤くなっていた。


「なるほど、だから、アーヤと裕樹さんの名前をそれぞれ入れたんだな。」



上杉君が発案してくれた名前……。

意外と真剣に考えてくれたみたい。


それに、私のことを優しいって思ってくれていたみたいだし！

少し嬉しいな！




私の気分はとてもよく、思わず笑みが溢れた。



良いかもしれない……！

彩樹って名前！

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