絡まる絆は知っている

天邪鬼　黒沢side ページ44

「馬鹿じゃないの！？
　私の前からさっさと消えて！」



バタンと大きな音を立てて、扉を閉める。

鍵も閉めて、扉に寄りかかった。






いきなり友達になってください？




馬鹿にするのも大概にして！


どこまで嘲笑えば気が済むのよ！



爆発する怒りが止まらない。





けれど、どこかで、本当の心が囁いた。


ごめんなさい








扉に凭(もた)れたまま、地面に座る。







本当はあんなこと言うつもりじゃなかった。


YESと答えて友達になりたかった。




立花さんと一緒に居れば、良い方向へ道が開ける気がするから。




なのに、私は変な意地を張って、NOと言い、暴言まで吐いた。






せっかくのチャンスだったのに。

自分を改めさせるチャンスだったのに。






私はいつもこうなんだ。


素直に言えなくて、天邪鬼になる。




だから、みんな離れていくんだ。




何かも私のせいだった。



KZも立花さんもフレンドも、何も悪くない。





私だけが悪くて、みんなを巻き込んだ。






いっそ、このまま孤立して、一人で生きて行こうかな。


それで、罪滅ぼしになるならば。




天井を見上げ、涙が溢れないようにする。






きっと、みんな私を恨んでる。


誰も私を好(す)いてはくれない。




……やっぱり、悪役にハッピーエンドなんて存在しないんだ。


悪役はあくまで主人公を目立たせるための飾り。





用が済んだら、あとは落ちるところまで落ちるだけ。







「あはは……。」


誰もいない寂しい空間に、渇いた笑い声が響く。




ここで死んでしまいたい。


そう思った時だった。





外から大きなノックをされ、ビクッと背筋に寒気が走る。

「黒沢さーん！」




この透き通るようなソプラノ声は、立花さん？


そんなわけないか。



だって、あんなに酷いこと言ったんだもの。



もう一度、こんなことする必要がない。








そう思いつつも、何かを期待する私は、ドアアイを覗いていた。





そこには、綺麗な瞳を輝かせた立花さんが見える。


自信と希望に溢れた笑顔。





立花さん、あなたって人は……！


あんなこと言ったのに、まだ話そうとでも？





ううん、今はそんなこと、どうでもいい。





立花さんの笑顔は、まるで湧水に咲く花のよう。


……なんで、立花さんはその笑顔を私に向けるわけ？





ドクンと心臓が大きく鳴った。



神様、
悪役にもハッピーエンドがあるのでしょうか

諦めてたまるものか　彩side→←大好きなんだ

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