絡まる絆は知っている

闇の底なし沼 ページ19

暗い夜空に見とれながら、心の穴に埋めていた時だった。


「なあ、お前、帰らないのか？」

聴き慣れた声に驚き、慌てて前を向く。



そこには、KZとフレンドの姿があったのだ。

さっきの声はおそらく若武さん。




なんで、こんなところにいるの……？

まさか、私を追いかけてきてくれたとか……？



私は一瞬そんな夢を考えたが、慌てて首を振った。

自分が夢から覚めるように。



そんなこと、あるわけない。

もしそうだったら、もっと早めに声をかけてくれたはずだもの。



たまたま……なのかな。




私は声を出すのを忘れ、ずっとKZとフレンドの目を見ていた。

どういう反応すればいいんだろう……。




すると、私が若武さんの言葉を無視したと思ったのか、若武さんが怒鳴った。

「なんで、帰らないのか聞いてんだろ！」




怒鳴らなくたっていいでしょ。

私は少し若武さんを睨み、思わず言ってしまった。


「帰る場所がないから。」



私の言葉に全員が固まる。



当たり前……だよね。

だって、未成年なのに家がないって言っているんだもの。



でも、これは事実。

嘘をついてもバレるだろうし、最初から本当のことを言えばいい。




「帰る場所がないってどういうことだ？」

他のみんなより解凍した七鬼さんが聞いてきた。



受け取った通りの意味だけど？

「分かりやすく言うなら、“存在しない子供”かな。」




私の雰囲気は、今まさに闇というべきだろう。

一寸の光もない暗闇。




私はいつまでも闇に落ちていく。

闇の底なし沼に嵌まったが最後、抜け出せない。



誰かが手を引っ張ってくれれば、助かるのに。




まあ、私の場合、抜け出すことなんて、永遠にないけどね。






だって、誰も私の手を取ってくれやしないもの

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