最終回 ページ46
天気の良い昼下がり。
どこからか誰かの弾くギターが聞こえ、小鳥はさえずり、木陰ではほのぼのとしたカップル「だーかーら違うって言ってんだろ馬鹿！」「あー！それが彼女にとる態度！？馬面！」.....
カップルが...
いや、カップルであることに違いはないのだが...
「あの時好きだって言ったのはジャンが先だった！」
「バッ、でかい声で言うな！」
大声が調査兵団中に響きわたり、小鳥は親鳥と共に飛び去る。目の前で意地でも事実を認めようとしない私の恋人。まさか数年前までジャンが恋人になるなんて思ってもいなかった。しかし想いが通じあったあの日のことを私は確かに覚えている。日記にも書いた。
「私のことを放っておけないって顔真っ赤にしながら言ったのはどこの誰でしたっけね！」
「言ってねえよそんなこと！！」
未だに認めないジャンの頬を今にもつねってやろうかと考えたその時、「オイ...」と言う声とともに足音が聞こえた。背筋が凍りつき、息が止まった。ジャンの額にも冷や汗が流れる。振り向くとそこには何回目のデジャヴかもう覚えてはいない。兵長が立っていた。
「別にお前らがどこで何してようが構わねえが、ここが公衆の面前だということも忘れるな...」
兵長の言葉に辺りを見渡すと、こちらを見てニヤニヤと笑みを浮かべている者、冷ややか且つドン引きした目でこちらを見つめている者、そして。
「......何してんの」
植え込みに隠れた私の兄率いる元104期の仲間と先輩たちがこちらを見ていた。
「兵長！言っちゃダメじゃないですか！！」
「...知らねえ」
ペトラの言葉に呆れた表情でそう返す兵長は掃除に戻ると言い残しその場を去っていった。
「いや、でもまさかAがジャンとそういう関係になるとは思わなかったぜ。」
「ほんとだよなー！！」
「よくも俺の可愛い妹を.....」
「ラブラブで羨ましいです....」
口々に放たれるいくつもの言葉に徐々に顔が熱くなる。隣のジャンも同じようで、うるせえなんて暴言を吐きながらも耳が真っ赤にさせていた。
そんな私達に向かって、顔の熱を取り払うかのような風が吹いた。
ふと、陽射しの強い空を仰ぐ。
いつも一緒にいる仲間と、初めて出来たかけがえのない存在。
大切な宝物を胸に、今ここで私は生きている。
こんな私の日常は、まだまだ終わる事はないだろう。
「何だかんだ言っていいな、日常....」
また、強い風が吹いた。
-完-
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ぐりーん(プロフ) - 感慨深いですね…主様の小説惚れ込んでしまいました (2023年3月4日 2時) (
レス) @page48 id: deeadad018 (このIDを非表示/違反報告)
yu - 梦雨さん» idは異なってますが、作者のyuと申します！感想いただけて嬉しいです。ありがとうございます。8年前書いてた私も喜んでると思います。笑笑 これからも進撃の巨人を愛していきましょうね！ (2021年4月12日 22時) (レス) id: 05cea5771c (このIDを非表示/違反報告)
梦雨 - 初コメ失礼します。更新お疲れ様でした…！！ついさっきこのシリーズを読み始めたのですが、面白くてあっという間に読み終わってしまいました！とても面白くて感動するお話でした…！素敵なお話をありがとうございました；；本当にお疲れ様でした！！ (2021年4月12日 21時) (レス) id: 508416840e (このIDを非表示/違反報告)
yu - あいあいさん» うおおおお？！死なないでください！？ (2014年7月3日 20時) (レス) id: ef5ac8aecf (このIDを非表示/違反報告)
あいあい - いっかい死んでくる☆ (2014年7月3日 19時) (レス) id: 264268f028 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yu | 作成日時：2013年11月2日 8時
