突然の来訪者8 ページ43
「...アニ！」
窓の外に見えたアニの姿に頭が真っ白になり、すぐに喜びの感情が湧き上がってきた。
思わず窓を開け、名前を呼ぶ。するとアニは服についた砂を払いながらこちらを向き、非常に分かり辛いが、うっすらと微笑んだ。
アニの笑顔に私の顔も綻び、屋敷の外に出ようとした、その時だった。
アニの目が大きく見開かれ、「A！後ろ！」と叫んだ。
バッと振り返ると、隠れていた手下だろうか。憲兵ではないようだが、若く如何にもガラの悪い感じの男が這い出てきて、即座に私の口を塞いだ。
完全に油断した。眉をしかめ、腕から抜け出そうとすると、何か冷たいものが私の首に触れた。恐る恐る視線だけをそこへ向ける。
先の細く尖ったナイフが、私の首に突き付けられていた。ナイフが光を反射し、ギラリと鈍く光る。
「はは...お嬢ちゃんには悪いがこの縁談が成功しないと俺には金が入らねえもんでな.....悪いことは言わねえよ、婚約を受け入れるんだ。」
ああ、何でこう面倒なことになるんだろう。皆を見ると一人一人動こうとはしてくれているが、迂闊に手出しができないようで悔しそうな顔をしていた。助けてくれようとしているのは嬉しいが、そうすると皆にも危害が加わってしまう。
「...離して。」
「無理な話だな。」
こんなことなら訓練兵時代にしっかり対人訓練をしておけば良かった。今更悔やんでも遅いことなんだが。すみませんでしたキース教官。ハゲとか言ってほんと、いやまじすんませんでした。
「皆には危害を加えないって約束して。」
「お前の判断次第だな。暴れりゃ殺すし受け入れりゃ離してやる。」
男の口からいとも簡単に発せられた"殺す"と言う言葉に体中の毛が栗立つのが分かった。しかし、このままでいても打開策はない。こうなったら強行突破だ。
男の視線が一瞬私から外れたのを見計らい、足を後ろに振り上げた。
しかし、足は空を切った。素人目にも分かったが、この男、対人戦闘の経験がある。いとも簡単に避けられた攻撃は、相手の逆鱗に触れたようで。
「っ...てめえ！」
(____やば...)
逆上した男が振り上げた刃先が、私に向かう。
ピッ
(........?)
頬に生暖かい何かが飛んだ。痛みはない。
「...ぐっ」
聴き慣れた声がした。
嫌な予感を感じながらゆっくりと目を開け、頬に手を触れる。
血だ。
顔を覆っていた腕を素早くどけた。
「...あ、」
そこにいたのは、ジャンだった。
続く
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ぐりーん(プロフ) - 感慨深いですね…主様の小説惚れ込んでしまいました (2023年3月4日 2時) (
レス) @page48 id: deeadad018 (このIDを非表示/違反報告)
yu - 梦雨さん» idは異なってますが、作者のyuと申します！感想いただけて嬉しいです。ありがとうございます。8年前書いてた私も喜んでると思います。笑笑 これからも進撃の巨人を愛していきましょうね！ (2021年4月12日 22時) (レス) id: 05cea5771c (このIDを非表示/違反報告)
梦雨 - 初コメ失礼します。更新お疲れ様でした…！！ついさっきこのシリーズを読み始めたのですが、面白くてあっという間に読み終わってしまいました！とても面白くて感動するお話でした…！素敵なお話をありがとうございました；；本当にお疲れ様でした！！ (2021年4月12日 21時) (レス) id: 508416840e (このIDを非表示/違反報告)
yu - あいあいさん» うおおおお？！死なないでください！？ (2014年7月3日 20時) (レス) id: ef5ac8aecf (このIDを非表示/違反報告)
あいあい - いっかい死んでくる☆ (2014年7月3日 19時) (レス) id: 264268f028 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yu | 作成日時：2013年11月2日 8時
